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災害復興で内戦を乗り越える
スマトラ島沖地震・津波とアチェ紛争
A5並製・260頁
ISBN: 9784876984923
発行年月: 2014/03
あのスマトラ島沖地震・津波から今年で10年。被災地アチェは当時内戦下にあったが、大規模な救援復興活動が展開する中で30年に及ぶ紛争が終結した。災害を契機に社会がどう変わり、紛争からの復興と災害からの復興がどう経験されてきたのかを地域研究の立場から明らかにする。「さまざまな弔い方」「津波の経験を伝える」という章も。
『東南アジア研究』54巻2号、263-266頁、評者:弘末雅士氏
『東南アジア 歴史と文化』No.46, 2017、78-82頁、評者:亀山恵理子氏
『東南アジア 歴史と文化』No.46, 2017、78-82頁、評者:亀山恵理子氏
西 芳実(にし よしみ)
1971年東京生まれ。1993年東京大学教養学部卒業。1997年~2000年にインドネシア・シアクアラ大学教育学部歴史学科の留学生としてインドネシア・アチェ州に滞在。2004年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程・地域文化研究専攻単位取得満期退学。大東文化大学非常勤講師、東京大学大学院総合文化研究科特任助手、同研究科助教(「人間の安全保障」プログラム)、立教大学AIIC助教を経て2011年より京都大学地域研究統合情報センター准教授。博士(学術)。専門はインドネシア地域研究、アチェ近現代史。主な研究テーマは多言語・多宗教地域の紛争・災害対応過程。
主な著作に、「経路をめぐる紛争としてのアチェ紛争」(城山英明ほか編『紛争現場からの平和構築――国際刑事司法の役割と課題』東信堂、2007)、「裏切られる津波被災者像:災害は私たちに何を乗り越えさせるのか」(林勲男編著『自然災害と復興支援』明石書店、2010)、「災害・紛争と地域研究:スマトラ沖地震・津波における現場で伝わる知」(『地域研究』第12巻第2号)、「信仰と共生:バリ島爆弾テロ事件以降のインドネシアの自画像」(『地域研究』第13巻第2号)など。
1971年東京生まれ。1993年東京大学教養学部卒業。1997年~2000年にインドネシア・シアクアラ大学教育学部歴史学科の留学生としてインドネシア・アチェ州に滞在。2004年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程・地域文化研究専攻単位取得満期退学。大東文化大学非常勤講師、東京大学大学院総合文化研究科特任助手、同研究科助教(「人間の安全保障」プログラム)、立教大学AIIC助教を経て2011年より京都大学地域研究統合情報センター准教授。博士(学術)。専門はインドネシア地域研究、アチェ近現代史。主な研究テーマは多言語・多宗教地域の紛争・災害対応過程。
主な著作に、「経路をめぐる紛争としてのアチェ紛争」(城山英明ほか編『紛争現場からの平和構築――国際刑事司法の役割と課題』東信堂、2007)、「裏切られる津波被災者像:災害は私たちに何を乗り越えさせるのか」(林勲男編著『自然災害と復興支援』明石書店、2010)、「災害・紛争と地域研究:スマトラ沖地震・津波における現場で伝わる知」(『地域研究』第12巻第2号)、「信仰と共生:バリ島爆弾テロ事件以降のインドネシアの自画像」(『地域研究』第13巻第2号)など。
口絵
「災害対応の地域研究」シリーズの刊行にあたって
関連地図(アチェ州、バンダアチェ市とその周辺)/アチェ災害・紛争復興関連年表
はじめに
アチェへ向けられるまなざし/本書のねらいと災害対応研究小史/アチェの地理と被害状況/アチェの民族構成
第一部 紛争下の被災―津波が解く「囲い込み」
第1章 情報空白地域を襲う津波
被災から半年
1 旗に込めた思い―届かなかった津波知識
2 写真と張り紙―被害情報の収集
3 ツナミとイブナ―インドネシアの津波認識
4 モスクと文書―歴史・文化の被災
第2章 統制を破る支援の波
被災から半年
1 監視下の支援―インドネシア政府・国軍
2 支援者の役割分担―コンソーシアムとポスコ
3 紛争地から被災地へ―戒厳令を解いた日本のNGO
4 情報共有と調整―アチェ・ニアス復興再建庁
第3章 支援で生まれる秩序
被災から半年
1 代表を選ぶ―避難所
2 窓口を置く―ポスコと「三日ルール」
3 組んで働く―女性の生活再建支援
4 一緒に使う―農業加工機材の供与
第二部 復興再建期―世界と再び繋がるアチェ
第4章 被災地にあふれる笑顔
被災から1~2年
1 遊び心―対話の材料としての津波
2 食事と看板―世界の被災地アチェ
3 セミナーとお菓子―裏方で仕切る女たち
4 防災教育―被災者である前に教師として
第5章 さまざまな弔い方
被災から1~3年
1 骸骨の丘―紛争下の弔い
2 集団埋葬地―墓標なき慰霊
3 再埋葬―埋めきれない思い
4 昇天の間―死者とともに生きる
第6章 住宅再建とコミュニティ
被災から2~4年
1 復興住宅の見本市―ランバロスケップ村
2 海岸沿いの住宅再建―トルコ村
3 郊外の高台移転―中国村
4 近郊の埋立地―仏陀ツーチー村
第三部 社会の復興―災害で生まれる新しい社会
第7章 亀裂の修復と社会の再生
被災から5年目以降
1 英雄の死―独立紛争への終止符
2 ボランティア―防災と「外助」
3 フィクション―国民的連帯の再生
4 公園と記念碑―世界への応答
第8章 津波の経験を伝える
被災から7年目以降
1 学術交流―「メッカのベランダ」から防災学の拠点へ
2 防災学専攻―インドネシアの大学院で二校目
3 物語―タイプライター・プロジェクト
ツナミ(アミルッディン・マナフ著)
第9章 津波のうねり
被災から8年目以降
1 内陸地震への支援―州内格差の解消に向けて
2 行政改革とイスラム―特別自治州のジレンマ
3 カフェとヘルメット―違いがわかる楽しみ
4 津波後世代の誕生―マルチメディアを体現する人々
おわりに
「思いのほか明るい表情」をどう理解するか/社会の復興と個人の復興/よりよい社会を目指して―災害復興を通じた社会の課題への取り組み
コラム1 アチェの女性たち
コラム2 旗とカーレース
コラム3 アンワルおじさん
コラム4 会議と観光は続く
参考文献
あとがき
索引
「災害対応の地域研究」シリーズの刊行にあたって
関連地図(アチェ州、バンダアチェ市とその周辺)/アチェ災害・紛争復興関連年表
はじめに
アチェへ向けられるまなざし/本書のねらいと災害対応研究小史/アチェの地理と被害状況/アチェの民族構成
第一部 紛争下の被災―津波が解く「囲い込み」
第1章 情報空白地域を襲う津波
被災から半年
1 旗に込めた思い―届かなかった津波知識
2 写真と張り紙―被害情報の収集
3 ツナミとイブナ―インドネシアの津波認識
4 モスクと文書―歴史・文化の被災
第2章 統制を破る支援の波
被災から半年
1 監視下の支援―インドネシア政府・国軍
2 支援者の役割分担―コンソーシアムとポスコ
3 紛争地から被災地へ―戒厳令を解いた日本のNGO
4 情報共有と調整―アチェ・ニアス復興再建庁
第3章 支援で生まれる秩序
被災から半年
1 代表を選ぶ―避難所
2 窓口を置く―ポスコと「三日ルール」
3 組んで働く―女性の生活再建支援
4 一緒に使う―農業加工機材の供与
第二部 復興再建期―世界と再び繋がるアチェ
第4章 被災地にあふれる笑顔
被災から1~2年
1 遊び心―対話の材料としての津波
2 食事と看板―世界の被災地アチェ
3 セミナーとお菓子―裏方で仕切る女たち
4 防災教育―被災者である前に教師として
第5章 さまざまな弔い方
被災から1~3年
1 骸骨の丘―紛争下の弔い
2 集団埋葬地―墓標なき慰霊
3 再埋葬―埋めきれない思い
4 昇天の間―死者とともに生きる
第6章 住宅再建とコミュニティ
被災から2~4年
1 復興住宅の見本市―ランバロスケップ村
2 海岸沿いの住宅再建―トルコ村
3 郊外の高台移転―中国村
4 近郊の埋立地―仏陀ツーチー村
第三部 社会の復興―災害で生まれる新しい社会
第7章 亀裂の修復と社会の再生
被災から5年目以降
1 英雄の死―独立紛争への終止符
2 ボランティア―防災と「外助」
3 フィクション―国民的連帯の再生
4 公園と記念碑―世界への応答
第8章 津波の経験を伝える
被災から7年目以降
1 学術交流―「メッカのベランダ」から防災学の拠点へ
2 防災学専攻―インドネシアの大学院で二校目
3 物語―タイプライター・プロジェクト
ツナミ(アミルッディン・マナフ著)
第9章 津波のうねり
被災から8年目以降
1 内陸地震への支援―州内格差の解消に向けて
2 行政改革とイスラム―特別自治州のジレンマ
3 カフェとヘルメット―違いがわかる楽しみ
4 津波後世代の誕生―マルチメディアを体現する人々
おわりに
「思いのほか明るい表情」をどう理解するか/社会の復興と個人の復興/よりよい社会を目指して―災害復興を通じた社会の課題への取り組み
コラム1 アチェの女性たち
コラム2 旗とカーレース
コラム3 アンワルおじさん
コラム4 会議と観光は続く
参考文献
あとがき
索引