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フェティシズム研究 2

越境するモノ

田中 雅一 編

A5上製・510頁

ISBN: 9784876989508     お詫びと訂正(2015.7.27)PDF

発行年月: 2014/02

  • 本体: 4,800円(税込 5,280円
  • 在庫あり
 
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内容

近代は「未開」のモノ崇拝を「フェティシズム」と呼んで切断した。それが,近代社会に刻印されたモノの呪いの始まりであった 。モノをめぐる固着した植民地的関係の相対化を図りながら,「信仰」「蒐集」をキーワードに,領域と地域を軽やかに越境するモノの呪力に迫る。ヒトと身体とモノの目くるめく交歓を描くシリーズ第2巻。

書評

『Tarzan(ターザン)』2021年8/26号 No.816、対談「フェティシズムって何だ?」

プロフィール

◆編者紹介

田中雅一(たなか・まさかず)
 1955年生まれ。京都大学人文科学研究所教授、人類学(南アジア)、ジェンダー・セクシュアリティ研究。
 主要著書に、『供儀世界の変貌 南アジアの歴史人類学』法蔵館、2002年(単著)、『癒しとイヤラシ エロスの文化人類学』筑摩書房、2010年(単著)、『ジェンダーで学ぶ文化人類学』2005年、『ミクロ人類学の実践』2006年、『ジェンダーで学ぶ宗教学』2007年、『南アジア社会を学ぶ人のために』2010年(以上、世界思想社、共編)、『文化人類学文献事典』弘文堂、2004年(共編)、『暴力の文化人類学』京都大学学術出版会(編著)、『女神 聖と性の人類学』平凡社、1998年(編著)などがある。

◆著者紹介

石井美保(いしい・みほ)
京都大学人文科学研究所准教授。人類学、アフリカ・南アジア研究。

田辺明生(たなべ・あきお)
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科教授。人類学、地域研究(南アジア)。

金谷美和(かねたに・みわ)
国立民族学博物館外来研究員。人類学(南アジア)、工芸研究。

細谷広美(ほそや・ひろみ)
成蹊大学文学部教授。人類学、地域研究(ラテンアメリカ)。

藤原久仁子(ふじわら・くにこ)
大阪大学大学院言語文化研究科特任助教。人類学(南ヨーロッパ・地中海地域)、宗教学。

田中正隆(たなか・まさたか)
高千穂大学人間科学部准教授。文化人類学、民俗学。

鈴木正崇(すずき・まさたか)
慶應義塾大学大学院社会学研究科教授。人類学、宗教学。

小牧幸代(こまき・さちよ)
高崎経済大学地域政策学部教授。人類学、南アジアのイスラーム研究。

木下彰子(きのした・あきこ)
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科研究員。人類学、地域研究(南アジア)。

岡田浩樹(おかだ・ひろき)
神戸大学大学院国際文化研究科教授。人類学(東アジア、ベトナム研究、宇宙開発に関する人類学的研究)。

上杉和央(うえすぎ・かずひろ)
京都府立大学文学部准教授。歴史地理学、地理思想、景観史。

岩谷彩子(いわたに・あやこ)
広島大学大学院社会科学研究科准教授。人類学、ロマ/「ジプシー」研究。

田川 泉(たがわ・いずみ)
Indiana Japanese Language School, Instructor. 人類学(北米)、博物館論。

福西加代子(ふくにし・かよこ)
京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程単位認定退学。

窪田幸子(くぼた・さちこ)
神戸大学国際文化学研究科教授。文化人類学(オーストラリア)、先住民研究。

高木博志(たかぎ・ひろし) 
京都大学人文科学研究所教授。日本近代史、近代天皇制の文化史的研究。

長尾晃宏(ながお・あきひろ)
名城大学大学院経営学研究科教授。マーケティング、消費社会・コレクション消費・物語広告研究。 

川村清志(かわむら・きよし)
国立歴史民俗博物館准教授。文化人類学、民俗学。

目次

はじめに [田中雅一]

序 章 越境するモノたちを追って  [田中雅一]
1 はじめに
2 推量を拒否するモノ
3 フェティシズムとコンタクト・ゾーン
4 博物館へ/博物館から
5 本書の構成

第 Ⅰ 部 フェティッシュとであう

第 1 章 呪物の幻惑と眩惑 [石井美保]
1 はじめに
2 フェティッシュと創造性——ピーツとグレイバーのフェティッシュ論
3 異文化間の交渉とフェティッシュ
4 考察——フェティッシュの幻惑
5 おわりに
第 2 章 リンガとファルス
     フェティシズムの植民地主義からの解放のために [田辺明生]
1 はじめに
2 リンガ・ヨーニはファリック・シンボルか
3 リンガ・ヨーニとフェティシズム
4 植民地主義と近代ヒンドゥー教の再編——インド的公共性へ
5 おわりに
第 3 章 装飾のフェティシズム
     東アフリカの衣服カンガの誕生をめぐって [金谷美和]
1 はじめに
2 オランダのサンプル帳にみられるカンガ資料の検討
3 グジャラートから東アフリカ沿岸部へ(移民と布の交易)
4 カッチ地方の絞り染め布とその生産者たち
5 おわりに
第 4 章 コモディティ化するフェティシズムへの挑戦
     社会主義国キューバのアーティスト、コロニアリズム、グローバル市場 [細谷広美]
1 はじめに
2 フェティシズムとしての美術、グローバル化
3 キューバ現代美術とグローバル化
4 コロニアリズム、グローバル化へのまなざし
5 おわりに

第 Ⅱ 部 フェティッシュをしんじる

第 5 章 変奏される伝説、転置するフェティッシュ
     奇跡をめぐる欲望が生み出す人・モノ・場所 [藤原久仁子]
1 はじめに
2 タピヌ巡礼地の成立
3 アールプ村と「癒しの油」伝説
4 フレンチおじさんと「癒しの油」
5 おわりに
第 6 章 モノ化する「運命」
     西アフリカ・ベナン南西部の宗教実践 [田中正隆]
1 はじめに
2 運命と受動性
3 アジャ社会と在来信仰
4 運命と霊的存在をめぐる諸概念
5 村落社会におけるポリ儀礼
6 おわりに——運命とかかわりあう
コラム1 フェティッシュ・メーケット瞥見——トーゴでの体験から [鈴木正崇]
第 7 章 聖なる複製・商品の信仰空間
     イスラームの聖遺物とフェティシズム [小牧幸代]
1 はじめに
2 イスラームの聖遺物とは
3 南アジアにおけるイスラームの聖遺物信仰
4 複製化・商品化された聖遺物への信仰
5 聖遺物あるいはフェティッシュの聖性と物質性
6 おわりに
コラム2 大量生産された神像や宗教画を祀る
     インドにおけるヒンドゥー教徒の家庭内礼拝をめぐって [木下彰子]
第 8 章 複製化し、増殖するブッダ
     韓国仏教の物質化、ポップカルチャー化と忍び込むフェティシズム [岡田浩樹]
1 はじめに——増殖するブッダ
2 釈迦仏信仰と抑圧されたフェティシズム
3 ブッダの増殖と複製化
4 仏教的モノの氾濫と「私化」、忍び込むフェティシズム
5 おわりに
コラム3 モノと図譜と知識人、あるいは日本近世のフェティシズムの構造 [上杉和央]
第 9 章 本物をのっとる贋物
     インドにおける小生産物がかきたてるフェティシズム [岩谷彩子]
1 はじめに——フェイクとフェティシズム
2 「オリジナル」のありか——ヴァギリが扱う商品
3 フェイクを流通させる人々
4 フェイクはフェティッシュとなりえるか——ヴァギリの顧客たち
5 フェイクからフェティッシュへ

第 Ⅲ 部 フェティッシュをあつめる

第 10 章 歴史の翻案
      合衆国における博物館コレクションの政治性と象徴性 [田川 泉]
1 はじめに
2 翻案される歴史
3 再解釈されるコレクション
4 越境するコレクション
5 せめぎあうコレクション
6 解放されるコレクション
7 コレクションの政治性と象徴性
コラム4 武器を欲望する人々
     広島県呉市における戦艦大和の展示をめぐって [福西加代子]
第 11 章 博物館とフェティシズム
      秘匿と開示をめぐる地域博物館の抵抗と交渉 [窪田幸子]
1 はじめに
2 カナダの博物館の変化
3 オーストラリアの博物館の変貌
4 地域博物館をめぐる交渉——カナダとオーストラリア
5 モノとフェティシズム
コラム5 近代天皇制の「秘匿性」と御物 [高木博志]
第 12 章 性を蒐集・展示する [田中雅一]
1 博物館、あるいはもうひとつの他者表象
2 二種類の秘宝館
3 男たちの世界から二人の世界へ——秘宝館の変容
4 レジャー系秘宝館——伊勢と熱海
5 ムセイオンからミュージアムへ
6 宇和島・多賀神社境内性文化財資料館凸凹神堂
7 欲望を欲望する
8 おわりに
第 13 章 収拾のつかない蒐集 [長尾晃宏]
1 はじめに——我、集める。ゆえに我あり。
2 研究の視点と方法をめぐって
3 コレクションの魅力、祝祭、呪縛
4 消費文化の蒐集
5 モノ集めに夢中になるメカニズム
6 おわりに
第 14 章 ガンプラというフェティシズム
      モノと物語の相互作用 [川村清志]
1 はじめに
2 ガンダムという物語
3 ガンプラの誕生と展開
4 ガンプラを展開させたメディアと「らせん的進化」
5 フェティッシュとしてのガンプラ
6 おわりに

あとがき
索引
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