建物の配置や様式を巡って「寝殿造」は定型的に理解されてきた嫌いがある。しかし実際の貴族の住まいは、多様性を予想させる未解明な部分も多く、成立時期も再検討されるべきである。新出の里内裏の遺構や、遺物、小規模宅地の考察をはじめ、平城京、院政期鳥羽殿、平泉庭園、鎌倉武家屋敷との比較等から、平安京貴族邸宅の実像に迫る。

『史學雜誌』第122編第1号、114-115頁、紹介：吉田歓氏
『古代文化』第65巻第1号、157頁、紹介：山本雅和氏

五十音順　＊は編者

家原　圭太（いえはら　けいた）
京都市文化財保護課技師　日本考古学
主要著作
「初期宮都中枢施設の性格」天理大学考古学・民俗学研究室『古事』第9冊、2005年。
「京内貴族邸宅の構造—平城京を中心に」『古代豪族居宅の構造と機能』奈良文化財研究所、2007年。
「平城宮・京の建物規模と構造」『古代官衙の造営技術に関する考古学的研究　平成15年度〜18年度科学研究費補助金（基盤研究（B））研究成果報告書、研究代表者　山中敏史』奈良文化財研究所、2007年。
「古代都城における曹司の変遷」『考古学研究』第58巻第2号、2011年。

上野　勝之（うえの　かつゆき）
国際日本文化研究センター共同研究員　日本古代・中世文化史
主要著作
「夢の諸相—平安時代を中心として」『日本文化・環境論講座紀要』第3号、2001年。
「日本古代・中世における疾病認識の変容—瘧病史点描」『京都大学総合人間学部紀要』第9巻、2002年。
「摂関期の王権と邪気・モノノケ観念—藤原道長を例として」『古代文化』第59巻第4号、2008年。

鋤柄　俊夫（すきがら　としお）
同志社大学文化情報学部教授　日本考古学・文化史学
主要著書
『中世京都の軌跡—道長と義満をつなぐ首都のかたち』雄山閣、2008年。
『日本中世都市遺跡の見方・歩き方—「市」と「館」を手がかりに』昭和堂、2010年。

鈴木　久男（すずき　ひさお）
京都産業大学文化学部教授　歴史考古学
主要著作
『恒久の都 平安京』（共編著）吉川弘文館、2010年。
『鹿苑寺境内不動堂石室調査報告書』鹿苑寺境内不動堂石室調査委員会、2011年。
　
西山　良平（にしやま　りょうへい）＊
京都大学大学院人間・環境学研究科教授　日本古代・中世の社会史・文化史
主要著作
『都市平安京』京都大学学術出版会、2004年。
『平安京の住まい』（共編著）京都大学学術出版会、2007年。
『恒久の都 平安京』（共編著）吉川弘文館、2010年。

飛田　範夫（ひだ　のりお）
長岡造形大学造形学部教授　日本庭園史
主要著作
『日本庭園の植栽史』京都大学学術出版会、2002年。
『庭園の中世史』吉川弘文館、2006年。
『江戸の庭園』京都大学学術出版会、2009年。

福田　誠（ふくだ　まこと）
鎌倉市教育委員会文化財部文化財課　中世考古学
主要著作
国指定史跡『永福寺跡』（共著）鎌倉市教育委員会、2001年（遺構編）、2002年（遺物・考察編）。
『鎌倉大仏周辺発掘調査報告書』（編著）鎌倉市教育委員会、2001、2002年。
「鎌倉大仏造立の痕跡を探る」『鎌倉』第94号、鎌倉文化研究会、2002年。
『北条義時法華堂跡確認調査報告書』（共著）、鎌倉市教育委員会、2005年。

藤田　勝也（ふじた　まさや）＊
関西大学環境都市工学部教授　建築史・住文化史
主要著作
『日本古代中世住宅史論』中央公論美術出版、2002年。
『裏松固禅「院宮及私第図」の研究』（編著）中央公論美術出版、2007年。
『平安京の住まい』（共編著）京都大学学術出版会、2007年。

丸川　義広（まるかわ　よしひろ）
財団法人京都市埋蔵文化財研究所統括主任　日本考古学
主要著作
「山城の渡来人」『ヤマト王権と渡来人』サンライズ出版、2005年。
「京都盆地における古墳群の動向」『田辺昭三先生古稀記念献呈論文集』田辺昭三先生古稀記念の会、2002年。

吉川　義彦（よしかわ　よしひこ）
関西文化財調査会代表　日本考古学
主要著作
『平安京跡発掘調査報告　左京八条四坊一町』（共編著）、関西文化財調査会、2004年。
『本能寺跡発掘調査報告　平安京左京四条二坊十五町』（共編著）、関西文化財調査会、2008年。