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近代アジアの自画像と他者
地域社会と「外国人」問題
菊上製・400頁
ISBN: 9784876985500
発行年月: 2011/03
近代化とともに、法や権利の問題として急速に浮上したアジアにおける「外国人問題」.国境画定や植民地化による「国民」範疇の変化,経済移民による居留外国人の増大,戦争による「敵性外国人」への圧迫や難民など,19世紀以降の激動アジアの事例を詳細に検討し,「外国人」の形成と変容の様を,地域研究らしいリアリティで示す佳作.
『歴史学研究』No.902(2013年2月)、62頁、評者:小泉達矢氏
【編者】
貴志 俊彦(Kishi, Toshihiko) 京都大学地域研究統合情報センター教授 [序論,第九章]
広島大学大学院文学研究科博士課程後期単位取得退学
研究分野:東アジア地域研究,日中関係史,地域情報学
主な著作に,
『満洲国のビジュアル・メディア—ポスター・絵はがき・切手』(吉川弘文館,2010,単著),『中国・朝鮮における租界の歴史と建築遺産』(御茶の水書房,2010,共編著),『模索する近代日中関係—対話と競存の時代』(東京大学出版会,2009,共編著),『文化冷戦の時代—アメリカとアジア』(国際書院,2009,共編著) など
【執筆者】 (執筆順)
菅谷 成子(Sugaya, Nariko) 愛媛大学法文学部教授 [第一章]
弘末 雅士(Hirosue, Masashi) 立教大学文学部教授 [第二章]
林 満紅(Lin, Man-houng) 台湾・中央研究院近代史研究所研究員 [第三章]
陳 來幸(Chen, Laixing) 兵庫県立大学経済学部教授 [第四章]
小林 聡明(Kobayashi, Somei) 東京大学大学院総合文化研究科学術研究員 [第五章]
荒野 泰典(Arano, Yasunori) 立教大学文学部教授 [第六章]
小風 秀雅(Kokaze, Hidemasa) お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科教授
[第七章]
川島 真(Kawashima, Shin) 東京大学大学院総合文化研究科准教授 [第八章]
本野 英一(Motono, Eiichi) 早稲田大学政治経済学術院教授 [第十章]
呉 偉明(Ng, Benjamin Wai-ming) 香港中文大学日本研究学科教授 [第十一章]
朱 益宜(Chu, Cindy Yik-yi) 香港浸会大学歴史系教授 [第十二章]
孫 安石(Son, An-Sok) 神奈川大学外国語学部教授 [第十三章]
潘 光(Pan, Guang) 上海社会科学院欧亜研究所上海ユダヤ研究センター教授
[第十四章]
ラリサ・ウスマノヴァ(Larissa Usmanova) カザン州立大学社会学部准教授
[第十五章]
オルガ・バキッチ(Olga Bakich,Ольга Михайловна Бакич)
トロント大学CERESリサーチ・アソシエイト [第十六章]
貴志 俊彦(Kishi, Toshihiko) 京都大学地域研究統合情報センター教授 [序論,第九章]
広島大学大学院文学研究科博士課程後期単位取得退学
研究分野:東アジア地域研究,日中関係史,地域情報学
主な著作に,
『満洲国のビジュアル・メディア—ポスター・絵はがき・切手』(吉川弘文館,2010,単著),『中国・朝鮮における租界の歴史と建築遺産』(御茶の水書房,2010,共編著),『模索する近代日中関係—対話と競存の時代』(東京大学出版会,2009,共編著),『文化冷戦の時代—アメリカとアジア』(国際書院,2009,共編著) など
【執筆者】 (執筆順)
菅谷 成子(Sugaya, Nariko) 愛媛大学法文学部教授 [第一章]
弘末 雅士(Hirosue, Masashi) 立教大学文学部教授 [第二章]
林 満紅(Lin, Man-houng) 台湾・中央研究院近代史研究所研究員 [第三章]
陳 來幸(Chen, Laixing) 兵庫県立大学経済学部教授 [第四章]
小林 聡明(Kobayashi, Somei) 東京大学大学院総合文化研究科学術研究員 [第五章]
荒野 泰典(Arano, Yasunori) 立教大学文学部教授 [第六章]
小風 秀雅(Kokaze, Hidemasa) お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科教授
[第七章]
川島 真(Kawashima, Shin) 東京大学大学院総合文化研究科准教授 [第八章]
本野 英一(Motono, Eiichi) 早稲田大学政治経済学術院教授 [第十章]
呉 偉明(Ng, Benjamin Wai-ming) 香港中文大学日本研究学科教授 [第十一章]
朱 益宜(Chu, Cindy Yik-yi) 香港浸会大学歴史系教授 [第十二章]
孫 安石(Son, An-Sok) 神奈川大学外国語学部教授 [第十三章]
潘 光(Pan, Guang) 上海社会科学院欧亜研究所上海ユダヤ研究センター教授
[第十四章]
ラリサ・ウスマノヴァ(Larissa Usmanova) カザン州立大学社会学部准教授
[第十五章]
オルガ・バキッチ(Olga Bakich,Ольга Михайловна Бакич)
トロント大学CERESリサーチ・アソシエイト [第十六章]
序 論 自画像と他者への視線
—歴史学におけるトランス・ナショナリティ研究の提起 [貴志俊彦]
1 日本における「外国人」問題のいま
2 「移民研究」の潮流と「外国人」問題研究の接点
3 本書の課題と構成
第Ⅰ部 越境する民族のアイデンティティと「国民意識」
第一章 中国人移民の「脱中国人」化あるいは「臣民」化
—スペイン領フィリピンにおける中国系メスティーソ興隆の背後 [菅谷成子]
はじめに
1 スペインのフィリピン支配と中国人
2 アランディア総督の中国人追放—異教徒の「他者」からスペイン国王の「臣民」へ
3 バスコ総督の中国人統治政策
4 中国人移民とカトリシズム—スペイン人の疑念
5 「偶像崇拝」と植民地社会/おわりに
第二章 アラブ系住民による「民族アイデンティティ」の喚起
—オランダ領東インドにおける「原住民」意識の創出 [弘末雅士]
はじめに
1 東南アジアにおけるアラブ系移住者
2 二十世紀初めのオランダ領東インドとアラブ系住民
3 イスラーム同盟の結成
4 インドネシア民族主義運動の展開
おわりに
第三章 日本と台湾を結ぶ華人ネットワーク
—戦前の日台経済関係における台湾人商人・華商・日本政府 [林 満紅]
はじめに
1 日本における台湾人商人の商店開設と多国間貿易の開始
2 日台直接貿易における台湾人商人の役割
3 台湾—日本、台湾—華南、台湾—東南アジア、台湾—満洲間の経済関係の比較
4 日本人、華商、台湾人商人の間の協力と競争
おわりに
第四章 在日台湾人アイデンティティの脱日本化
—戦後神戸・大阪における華僑社会変容の諸契機 [陳 來幸]
はじめに
1 戦前における在日華僑社会の法的制約に関して—入国管理・就労居住制限・職業
2 戦後台湾人「新華僑」の誕生と華僑社会
3 冷戦体制のはざまで
おわりに
第五章 朝鮮人の移動をめぐる政治学
—戦後米軍占領下の日本と南朝鮮 [小林聡明]
はじめに
1 故郷への帰還
2 生き抜く術としての密航
3 日本社会からの追放としての送還
おわりに
第Ⅱ部 不平等条約体制下における公共性とガバナンス
第六章 言説としての「不平等」条約説
—明治時代における領事裁判権の歴史的前提の素描 [荒野泰典]
はじめに
1 不平等条約の成立過程—領事裁判権を中心に
2 近世日本において外国人の犯罪はどのように裁かれていたか
—領事裁判権と治外法権の間
おわりに—残された課題
第七章 法権と外交条約の相互関係
—不平等条約体制下における日露間の領事裁判権問題と樺太千島交換条約の締結
[小風秀雅]
はじめに
1 榎本武揚の使節任命—副島外交と大久保外交
2 樺太千島交換条約の締結とその意義
おわりに—条約改正交渉への影響
第八章 台湾人は「日本人」か?
—十九世紀末在シャム華人の日本公使館登録・国籍取得問題 [川島 真]
はじめに
1 日本の台湾領有と「新臣民」取扱
2 旧国籍法施行とシャム華僑の状況—国府寺新作の要請
3 日本公使館で登録される「支那人」たち—国府寺新作の政策遂行
4 「支那人」保護民とシャム政府—国府寺新作領事召喚要請と稲垣満次郎公使
5 日本国籍付与・登録保護の取消と限界—稲垣満次郎とシャム政府
おわりに
第九章 第一次世界大戦後の中国におけるヨーロッパ人の地位
—中華民国外交部■案からみる条約国と無条約国との法的差異 [貴志俊彦]
はじめに
1 清末における「護照」発給問題
2 第一次世界大戦後における外国人の法的地位の変化
3 無条約国国民の訴訟手続き
4 無条約国国民による商業活動
おわりに
第一〇章 「知的所有権」をめぐる在華外国企業と中国企業間の紛争
—外国側より見た中国商標法(一九二三年)の意義 [本野英一]
はじめに
1 「商標註冊試■章程」の挫折
2 外国商標の無断借用から模造へ
3 イギリス側から見た商標権侵害問題
4 中国商標法をめぐる日英交渉
5 中国商標法制定の衝撃
おわりに
第Ⅲ部 アジアにおけるもうひとつのエスノグラフィ
第一一章 ある在外日本人コミュニティの光と影
—戦前の香港における日本人社会のサーベイ [呉 偉明]
はじめに
1 日本人コミュニティの概況
2 戦前香港における日本人の政治活動
3 戦前香港における日本人の経済活動
おわりに
第一二章 拘留される「外国人」の待遇と心理状態
—日本占領時期の香港スタンレー強制収容所 [朱 益宜]
はじめに
1 日本の香港占領—一九四一年一二月
2 スタンレー強制収容所の初期—一九四二年一月から二月
3 収容所内の身体的ならびに精神的健康状態
4 強制収容所での日々
5 米国人とカナダ人の送還—拘留期間の比較的後の段階
おわりに
第一三章 日米の資料にみられる戦時下の「外国人」の処遇
—日本占領下の上海敵国人集団生活所 [孫 安石]
はじめに
1 太平洋戦争の勃発と敵国人問題
2 米国の日系アメリカ人強制収容と上海
3 上海の敵国人集団生活所の運用
4 J・C・オリバー(J. C. Oliver)文書と敵国人集団生活所
おわりに
第一四章 エスニック・グループのローカル・ナレッジによる処世術
—上海・香港におけるアシュケナジムとセファルディムの比較 [潘 光]
はじめに
1 香港や上海のセファルディ系ユダヤ人コミュニティ
2 北から南に発展したロシア系ユダヤ人
3 中欧から上海へ—ドイツ占領地区のユダヤ人難民
おわりに
第一五章 民族の独立とファシズムへの傾斜
—東アジアにおけるテュルク・タタール移民コミュニティ(講演録)
[ラリサ・ウスマノヴァ]
はじめに
1 タタール人のアジアへの移住のはじまり
2 ロシアの圧力を逃れて
3 民族主義の台頭
4 弱められた民族主義
5 新天地を求めて
おわりに
第一六章 回想録:一九四五年以降の在ハルビンロシア人の命運 [オルガ・バキッチ]
はじめに
1 中国への旅立ち
2 終戦時の高揚感
3 在ハルビンロシア人の逮捕と赤軍の侵攻
4 八路軍による秩序の回復
5 ハルビン残留ロシア人の離散
おわりに
結論に代えて
索引
執筆者紹介
—歴史学におけるトランス・ナショナリティ研究の提起 [貴志俊彦]
1 日本における「外国人」問題のいま
2 「移民研究」の潮流と「外国人」問題研究の接点
3 本書の課題と構成
第Ⅰ部 越境する民族のアイデンティティと「国民意識」
第一章 中国人移民の「脱中国人」化あるいは「臣民」化
—スペイン領フィリピンにおける中国系メスティーソ興隆の背後 [菅谷成子]
はじめに
1 スペインのフィリピン支配と中国人
2 アランディア総督の中国人追放—異教徒の「他者」からスペイン国王の「臣民」へ
3 バスコ総督の中国人統治政策
4 中国人移民とカトリシズム—スペイン人の疑念
5 「偶像崇拝」と植民地社会/おわりに
第二章 アラブ系住民による「民族アイデンティティ」の喚起
—オランダ領東インドにおける「原住民」意識の創出 [弘末雅士]
はじめに
1 東南アジアにおけるアラブ系移住者
2 二十世紀初めのオランダ領東インドとアラブ系住民
3 イスラーム同盟の結成
4 インドネシア民族主義運動の展開
おわりに
第三章 日本と台湾を結ぶ華人ネットワーク
—戦前の日台経済関係における台湾人商人・華商・日本政府 [林 満紅]
はじめに
1 日本における台湾人商人の商店開設と多国間貿易の開始
2 日台直接貿易における台湾人商人の役割
3 台湾—日本、台湾—華南、台湾—東南アジア、台湾—満洲間の経済関係の比較
4 日本人、華商、台湾人商人の間の協力と競争
おわりに
第四章 在日台湾人アイデンティティの脱日本化
—戦後神戸・大阪における華僑社会変容の諸契機 [陳 來幸]
はじめに
1 戦前における在日華僑社会の法的制約に関して—入国管理・就労居住制限・職業
2 戦後台湾人「新華僑」の誕生と華僑社会
3 冷戦体制のはざまで
おわりに
第五章 朝鮮人の移動をめぐる政治学
—戦後米軍占領下の日本と南朝鮮 [小林聡明]
はじめに
1 故郷への帰還
2 生き抜く術としての密航
3 日本社会からの追放としての送還
おわりに
第Ⅱ部 不平等条約体制下における公共性とガバナンス
第六章 言説としての「不平等」条約説
—明治時代における領事裁判権の歴史的前提の素描 [荒野泰典]
はじめに
1 不平等条約の成立過程—領事裁判権を中心に
2 近世日本において外国人の犯罪はどのように裁かれていたか
—領事裁判権と治外法権の間
おわりに—残された課題
第七章 法権と外交条約の相互関係
—不平等条約体制下における日露間の領事裁判権問題と樺太千島交換条約の締結
[小風秀雅]
はじめに
1 榎本武揚の使節任命—副島外交と大久保外交
2 樺太千島交換条約の締結とその意義
おわりに—条約改正交渉への影響
第八章 台湾人は「日本人」か?
—十九世紀末在シャム華人の日本公使館登録・国籍取得問題 [川島 真]
はじめに
1 日本の台湾領有と「新臣民」取扱
2 旧国籍法施行とシャム華僑の状況—国府寺新作の要請
3 日本公使館で登録される「支那人」たち—国府寺新作の政策遂行
4 「支那人」保護民とシャム政府—国府寺新作領事召喚要請と稲垣満次郎公使
5 日本国籍付与・登録保護の取消と限界—稲垣満次郎とシャム政府
おわりに
第九章 第一次世界大戦後の中国におけるヨーロッパ人の地位
—中華民国外交部■案からみる条約国と無条約国との法的差異 [貴志俊彦]
はじめに
1 清末における「護照」発給問題
2 第一次世界大戦後における外国人の法的地位の変化
3 無条約国国民の訴訟手続き
4 無条約国国民による商業活動
おわりに
第一〇章 「知的所有権」をめぐる在華外国企業と中国企業間の紛争
—外国側より見た中国商標法(一九二三年)の意義 [本野英一]
はじめに
1 「商標註冊試■章程」の挫折
2 外国商標の無断借用から模造へ
3 イギリス側から見た商標権侵害問題
4 中国商標法をめぐる日英交渉
5 中国商標法制定の衝撃
おわりに
第Ⅲ部 アジアにおけるもうひとつのエスノグラフィ
第一一章 ある在外日本人コミュニティの光と影
—戦前の香港における日本人社会のサーベイ [呉 偉明]
はじめに
1 日本人コミュニティの概況
2 戦前香港における日本人の政治活動
3 戦前香港における日本人の経済活動
おわりに
第一二章 拘留される「外国人」の待遇と心理状態
—日本占領時期の香港スタンレー強制収容所 [朱 益宜]
はじめに
1 日本の香港占領—一九四一年一二月
2 スタンレー強制収容所の初期—一九四二年一月から二月
3 収容所内の身体的ならびに精神的健康状態
4 強制収容所での日々
5 米国人とカナダ人の送還—拘留期間の比較的後の段階
おわりに
第一三章 日米の資料にみられる戦時下の「外国人」の処遇
—日本占領下の上海敵国人集団生活所 [孫 安石]
はじめに
1 太平洋戦争の勃発と敵国人問題
2 米国の日系アメリカ人強制収容と上海
3 上海の敵国人集団生活所の運用
4 J・C・オリバー(J. C. Oliver)文書と敵国人集団生活所
おわりに
第一四章 エスニック・グループのローカル・ナレッジによる処世術
—上海・香港におけるアシュケナジムとセファルディムの比較 [潘 光]
はじめに
1 香港や上海のセファルディ系ユダヤ人コミュニティ
2 北から南に発展したロシア系ユダヤ人
3 中欧から上海へ—ドイツ占領地区のユダヤ人難民
おわりに
第一五章 民族の独立とファシズムへの傾斜
—東アジアにおけるテュルク・タタール移民コミュニティ(講演録)
[ラリサ・ウスマノヴァ]
はじめに
1 タタール人のアジアへの移住のはじまり
2 ロシアの圧力を逃れて
3 民族主義の台頭
4 弱められた民族主義
5 新天地を求めて
おわりに
第一六章 回想録:一九四五年以降の在ハルビンロシア人の命運 [オルガ・バキッチ]
はじめに
1 中国への旅立ち
2 終戦時の高揚感
3 在ハルビンロシア人の逮捕と赤軍の侵攻
4 八路軍による秩序の回復
5 ハルビン残留ロシア人の離散
おわりに
結論に代えて
索引
執筆者紹介