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学術選書 105

池上四郎の都市計画

大阪市の経験を未来に

池上 惇

四六並製・234頁

ISBN: 9784814004317

発行年月: 2022/08

  • 本体: 1,800円(税込 1,980円
  • 在庫あり
 
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内容

大正期の大阪市は、近代化の中での商工業の発展とともに、文化・創造の活動を中心とする自由都市を形成していた。その旗手を務めたのが第6代大阪市長、池上四郎(1857-1929)である。港湾や道路計画といったハードなインフラとともに、教育・社会事業などのいわばソフトなインフラを通じて人的能力を高めうる良質の市民育成を目指したが、数々の事績の根本に通底する思想を、池上四郎と縁故をもつ経済学者が明らかにする。

書評

『測量』2023年2月号(第73巻 第2号)、51頁、評者:栁秀治氏

プロフィール

池上 惇(いけがみ じゅん)

1933年大阪市生まれ。
京都大学名誉教授、福井県立大学名誉教授、京都橘大学名誉教授
現在、国際文化政策研究教育学会名誉会長。

著書に、『財政学』(岩波書店)、『財政思想史』(有斐閣)、『文化と固有価値の経済学』(岩波書店)、『文化資本論入門』『学習社会の創造―働きつつ学び貧困を克服する経済を』(以上、京都大学学術出版会)など多数

目次

はしがき―産学公共による都市・地域協働事業の発展をめぐって

はじめに―大正期の新自由都市・大阪の経験から

序 章 学習創造都市の誕生―夏目漱石が大阪に来た時代

第1章 日本における都市計画構想の源流
    ―その発見と現代的課題との関係を考える
1 新日本人の誕生―池上四郎の文化資本形成過程
2 学術人と池上四郎―二宮尊徳の思想と近代的学術人の系譜
3 後藤新平と池上四郎

第2章 大阪市における都市計画構想の原点
    ―池上四郎の都市計画構想
はじめに―関一による池上市政の評価
1 都市計画事業の確立―大阪市域の広域的な整備とのかかわり
2 学区の負担均整―大阪市域の狭域的な整備
3 電力の公有化―電力公有化による産業と生活の安定化
4 都市・地域計画における広域と狭域のバランス―創造都市論との共通性

第3章 すべての市民を中流以上に
    ―都市社会政策・文化政策の土壌形成過程
1 W・ボウモルの都市文化政策論
2 日本初の都市社会政策の実験―市民参加型所得の再分配方式と文化交流の場づくり
3 民間力を生かす文化政策

第4章 池上四郎の社会事業
    ―文化資本を学習して身につけた市民に出番を
1 大阪市社会事業概観より
2 経済編にある社会事業の項目―知的サービスとしての社会教育活動を基軸に
3 工業研究所の創設
4 池上四郎構想の背後にあるもの

第5章 地域コミュニティ協働事業論の創造的展開
はじめに―共同から協働へ
1 地域コミュニティ共同事業論の提起
2 地域コミュニティ再生と発展の構想力と実現力
   ―防災力としての地域コミュニティ自治力・生活力
3 新たな地域経営が生み出す自然・文化的価値の創造的発信
4 展望―文化産業の三層構造からみた地域コミュニティの創造的な再生

第6章 日本における都市計画構想
    ―大正期・大阪市から創造都市論の原型を探る
1 創造都市論の台頭
2 展望―遠野市・住田町と京都市との市民交流

あとがき
参考文献一覧
索 引
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