近代市民社会の成立を原典から読む新シリーズ

近代社会思想コレクション

刊行にあたって
 わが国は明治以来ヨーロッパのさまざまな文物の移入に努めてきました。近代社会・経済思想と言えども例外ではなく、翻訳あるいは研究書の類も爾来、陸続として刊行されてきたわけです。
 ところが、そうした「翻訳の輸入」には、一つの重要な欠落がありました。すなわち、近代思想を育んだ歴史過程を軽視し、ひとまず「完成した」思想のみ翻訳してきた、ということです。
 21世紀を迎えた今日、西洋列強の圧力の中で急速な近代化を強いられた時期はとうに過ぎ、しかも、経済・政治の混乱と社会規範の変化という形で、近代の枠組そのものが揺らいでいるなかで、「そもそも近代とは何だったのか?」という問い直しをしようとするとき、その形成過程、すなわち「歴史」を知らずには、的確な答えを導くことはできません。
 現代の市民社会がますます錯綜を極めているなかで必要とされるのは、近代思想とは何であったのかをあらためてその源泉に遡って確認し、混迷する社会状況を切り開いていくための新たな指針を打ち出すことにある——当会では、そのように考え、10年来続けてきたギリシャ・ローマの古典紹介(『西洋古典叢書』)の取り組みに加え、この度、近代社会思想を彩った巨人たち、すなわち、グロティウス、ベイコン、ホッブズ、ロック、プーフェンドルフ、ハチスン、ヒューム、ベンサム、ミル等といった人々の足跡を、直接に原典を通じてたどるシリーズ、“近代社会思想コレクション”を刊行することにいたしました。
 コレクションの中には「本邦初訳」のものをなるべく多く取り入れ、また、専門研究者の要望にも応えるべく、いまだ充分に研究されていない著作家の紹介にも配慮しました。このような意味からも本書の翻訳刊行には十分に意義があると信じます。わが国には近代思想に興味をもつ読者は多く、江湖において歓迎されることを願い、年に数冊ずつ刊行する予定であります。

第19回配本 発売中

20. 道徳哲学史

門 亜樹子 訳
4,752 円
  宗教の名のもとに行われる様々な迫害を弾劾する。ギリシャ・ローマ思想に遡及し自然法に根拠を求め、道徳思想を教会の桎梏から解放する。

今後の配本

2017年8月 ガリアーニ『貨幣論』

既 刊

20. 道徳哲学史 門 亜樹子 訳 4,752 円
19. フィルマー著作集 伊藤宏之・渡部秀和 訳 6,264 円
18. プーフェンドルフ 自然法にもとづく人間と市民の義務 前田俊文 訳 3,888 円
17. フリードリヒ二世 反マキアヴェッリ論 大津真作 監訳 4,536 円
16. ケイムズ 道徳と自然宗教の原理 田中秀夫・増田みどり 訳 3,888 円
15. ライオネル・ロビンズ 経済学の本質と意義 小峯 敦・大槻忠史 訳 2,592 円
14. ムロン 商業についての政治的試論 米田昇平・後藤浩子 訳 4,536 円
13. ホッブズ 物体論 本田裕志 訳 6,048 円
12. マブリ 市民の権利と義務 川合清隆 訳 3,672 円
11. サン−ピエール 永久平和論2 本田裕志 訳 4,752 円
10. サン−ピエール 永久平和論1 本田裕志 訳 5,616 円
09. ランゲ 市民法理論 大津真作 訳 6,048 円
08. ホッブズ 人間論 本田裕志 訳 3,456 円
07. W・トンプソン 富の分配の諸原理2 鎌田武治 訳 5,184 円
06. W・トンプソン 富の分配の諸原理1 鎌田武治 訳 4,536 円
05. J・S・ミル 功利主義論集 川名雄一郎・山本圭一郎 訳 4,104 円
04. ヒューム 政治論集 田中秀夫 訳 3,996 円
03. ハチスン 道徳哲学序説 田中秀夫・津田耕一 訳 4,104 円
02. メーザー 郷土愛の夢 肥前榮一・山崎 彰・原田哲史・柴田英樹 訳 3,996 円
01. ホッブズ 市民論 本田裕志 訳 4,212 円