西洋古典叢書 2017

デモステネス
弁論集5 杉山晃太郎・木曽明子・葛西康徳・北野雅弘 訳

古代ギリシア最大の弁論家による,私訴を扱った法廷弁論作品のうち,本分冊には第27〜40弁論を収録.そこで争われる事件の性格から,現代とも相通ずる要素が多いことに加え,各裁判の背景をなす当時の日常生活のなかでの生々しい人間関係や,そこに潜む利害得失などは,研究者のみならず,広く一般の関心をも喚起しうる.[全7冊]

プルタルコス
モラリア12 三浦 要・中村 健・和田利博 訳

いわゆる『倫理論集』の一部をなす本分冊には,月面に顔が見えるという現象,冷たさの原理性,水と火の有用性などをめぐり,きわめてさまざま学説が紹介・検討される自然学的著作3篇に加え,陸棲および水棲動物の賢さ,非理性的動物の理性使用,肉食批判などが反ストア派的傾向を基調に論じられる動物学的著作3篇を収める.[全14冊]

ロンギノス/ディオニュシオス
古代文芸論集 木曽明子・戸高和弘 訳

ロンギノスの名の下に伝わる『崇高について』に,しばしば同書の真作者に比定されるハリカルナッソスのディオニュシオスによる『模倣論』『トゥキュディデス論』『デイナルコス論』と関連書簡3通を併収.実践的な弁論術・修辞学書であると同時に,規範とすべき著作家らを取りあげ解説することで,古代の貴重な文芸批評にもなっている.



西洋古典叢書 2018

アポロニオス・ロディオス
アルゴナウティカ 堀川 宏 訳

ヘレニズム時代を代表する学匠詩人による叙事詩.イアソン指揮のもと巨船アルゴ号に乗り組み,金羊皮を手に入れるべくコルキスの地へと赴く英雄たちの冒険を主題とした,アルゴナウタイ物語の決定版.本作をめぐり文学上の見解の相違から師カリマコスと対立したともいうが,古来広く愛読され,ローマの詩人たちにも大きな影響を与えた.

クイントス・スミュルナイオス
ホメロス後日譚 北見紀子 訳

ローマ時代に活躍したギリシア人が,ラテン文学の影響も窺わせつつ,ホメロスに倣って著わした叙事詩.原題は「ホメロスの後の事柄」を意味するが,アキレウスの死やトロイアの落城,ギリシア船団の遭難など,『イリアス』と『オデュッセイア』との間に起こったとされるさまざまな出来事が語られ,両叙事詩を補完する内容になっている.

クテシアス
ペルシア史/インド誌 阿部拓児 訳

前5〜4世紀に活動したギリシア人史家による作品集.戦争捕虜としてペルシア宮廷に連行されるも,医術の腕を買われ侍医として長く同地に滞在したといわれる.自身の見聞に基づく記録は,オリエント史においてヘロドトスの伝統を継ぐもの.原著は散逸したが,ポティオスほか多くの古代作家による豊富な引用から断片の形で再構成される.

プラトン
パイドロス 脇條靖弘 訳

弁論術の批判と恋の讃美という二つの主題が,想起・魂不死・魂三部分説などプラトンの主要思想の宇宙的規模での展開を通じて,哲学の要請という単一の主題へと収斂する.自己運動者としての魂という後期に承け継がれる考えが初めて提示される一方,中期の特徴をなすイデア論が積極的に表明される最後の作品としても重要な位置を占める.

プルタルコス
モラリア4 伊藤照夫 訳

本叢書の最初回配本から20年を経て,『モラリア』がついに完結を迎える.本分冊には,ローマ人およびギリシア人の習俗の起源や名称の由来を探る「習俗問答」2篇,演示用弁論「ローマ人の運について」「アレクサンドロスの運または徳について」「アテナイ人の名声は戦争によるか知恵によるか」の3篇に,ほか1篇を収録.[全14冊]

リバニオス
書簡集2 田中 創 訳

ローマ帝政後期にアンティオキアで活躍し,その変幻自在な魅力から「蛸」にも喩えられたギリシア人修辞学教師による書簡集の第2弾.帝国高官から都市有力者まで,有名無名の同時代人たちに宛てたおびただしい数の書簡は,後4世紀の東地中海世界について広範かつ厖大な情報を提供してくれる,きわめて貴重な史料.本邦初訳.[全3冊]