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プリミエ・コレクション 57

唐代の文学理論

「復古」と「創新」

永田 知之

A5上製・560頁

ISBN: 9784876986002

発行年月: 2015/03

  • 本体: 7,200円(税込 7,920円
  • 在庫あり
 
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内容

約五万首に及ぶ唐詩に統一的な文学論はない。
陳子昴と釈皎然の対照的な文学論を取り上げ、復古・創新という対立項から二人の文学論を読み直し、唐代およびそれ以降の中国文学の展開を読み解くための基準を提示する。

プロフィール

永田 知之(ながた ともゆき)
京都大学人文科学研究所准教授
1975年 奈良県生まれ
1998年 京都大学文学部卒業(中国語学中国文学専攻)
2005年 京都大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学(中国語学中国文学専修)
2008年 京都大学博士(文学)

主要論文
「目から入る中国古典詩―「練字」の系譜」(冨谷至編『漢字の中国文化』昭和堂、2009年)
「Дx《鄭虔残札》雑考―搨書“与” “真迹”之間」(高田時雄編『涅瓦河辺談敦煌』京都大学人文科学研究所、2012年
「敦煌書儀語言浅析―以与日本伝世書簡,詩序的比較為中心」(Irina Popova・劉屹主編『敦煌学:第二個百年的研究視角与問題』Institute of Oriental Manuscripts, Russian Academy of Sciences,2012年)

目次

凡例

序章 唐代文学理論研究の新たな視座と材料を求めて
はじめに
第一節 空海と中国の文学理論・批評の吸収
第二節 中唐文学の指導者にとっての八〇五年
第三節 李杜の現れない唐詩批評
第四節 「古文」と相対するもの
第五節 本書の問題意識
第六節 本書の構成
おわりに

第一章 盧蔵用が抱いた文学観と陳子昂像の形成――詩人と伝記作者
はじめに
第一節 盧蔵用と彼による陳子昂集の編纂及び流伝
第二節 「盧序」の文学観――『宋書』「謝霊運伝」論との比較を通して
第三節 「別伝」による陳子昂像の形成
第四節 盧蔵用の「思想」
おわりに

第二章 唐人の意識下における陳子昂――「先達」への眼差し
はじめに
第一節 事跡への言及
第二節 李杜における陳子昂
第三節 盛唐から中唐へ
第四節 「感遇」の受容
第五節 「古」の発見
第六節 陳子昂が選ばれた理由――同時代人との比較を通して
おわりに

第三章 宋人の見た陳子昂――続「先達」への眼差し
はじめに
第一節 唐末における文学者としての陳子昂観
第二節 北宋前期における陳子昂作品の流伝――総集への採録を中心に
第三節 『新唐書』による酷評――『旧唐書』との比較を通して
第四節 北宋中後期における陳子昂の文学に対する評価
おわりに

第四章 通史から見た唐代の文学史観――歴史を書く人々
はじめに
第一節 王通とその周辺
第二節 陳子昂と『後史記』
第三節 蕭穎士とその同志
おわりに

第五章 唐代「詩格」研究序説――「詩学」成立への一過程
はじめに
第一節 唐・五代・北宋の「詩格」
第二節 「詩格」の特徴
第三節 唐詩と科挙との関係の一斑
第四節 「詩格」と科挙の関係
第五節 作詩・作文のマニュアル化
おわりに

第六章 皎然『詩式』の構造――摘句と品第
はじめに
第一節 皎然の経歴
第二節 『詩式』の流伝
第三節 『詩式』の構成と評価の基準
第四節 例句の引用法
第五節 秀句集、総集との関係
第六節 『詩式』と品第法
おわりに

第七章 皎然の文学史観――「今人」も「古えに及」ぶ
はじめに
第一節 今人が古えに及ぶ可能性
第二節 下降的文学史観への異論―陳子昂と盧藏用をめぐって
第三節 「盧序」に対する批判の背景
第四節 「横のマンネリズム」に対する否定
第五節 「横のマンネリズム」からの脱却
第六節 古えに敵するを以て上と為す
おわりに

第八章 皎然の詩論と唐代の文学論――同じものと違うもの
はじめに
第一節 『詩式』の選詩と当時の世評Ⅰ――「擅場」の詩を例として
第二節 『詩式』の選詩と当時の世評Ⅱ――試帖詩を例として
第三節 杜甫に対する評価
第四節 古文家と皎然――「復」と「変」
第五節 皎然による批判の矛先
おわりに

第九章 『吟窓雑録』小考――詩学文献としての性格を探る試み
はじめに
第一節 『吟窓雑録』について
第二節 『吟窓雑録』の編者とテクスト
第三節 特奏名状元陳応行
第四節 出版人陳応行
第五節 編集者・校訂者陳応行
第六節 福建の知識人(文学批評家)陳応行
第七節 『吟窓雑録』刊行の背景
おわりに

終章

参考文献一覧 
あとがき
人名索引
中文提要
英文要旨
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