学術選書 061
わかっているようでわからない数と図形と論理の話

西田 吾郎

四六並製・288頁・税込 1,944円
ISBN: 9784876988617
発行年月: 2013/06
在庫あり

書評

『京都新聞』2013年6月30日朝刊 読書面
『数理科学』2014年1月号、51頁、評者:森田康夫氏
『数学セミナー』2014年3月号、88頁、評者:伊藤浩行氏

内容

足し算の計算法や長方形の面積の求め方は、小学校で習う当たり前のこと。しかし、「なぜ1+1=2なのか?」「そもそも面積とは何か?」と問われると、きちんと説明できる人は少ないのではないでしょうか。本書は、高校や大学初学年で学ぶ数と図形と論理の数学から、当たり前のようで実はきちんと理解されていない10のトピックスを取り上げ、丁寧に解説します。

目次

第I話 定義と定理 −− 1+1=2はどうして正しい?
1 定義とはなにか −− 定義と定理の違い
2 間接的な定義 −− 見かけでは定義に見えないときもある
3「1+1=2」は自然数の定義の一部である
4 不親切な用語

第Ⅱ話 負数と整数 −− (-1)x(-1)=1 について
1 掛け算とはなんだったのか
2 自然数の加法,足し算と寄せ算
3 自然数の掛け算は本質的に足し算である
4 0の発見
5 負数と整数はどのように定義されるのか
6 マイナス×マイナスはなぜプラスか
7 (-1)x(-1)=1が成り立つ数のモデル
8 発見と創造

第Ⅲ話 分数と有理数 −− 分数の割り算はなぜひっくり返して掛ける?
1 分数と割り算は同じものか
2 分数と有理数の正式な定義
3 分数で割るとはどういう意味なのか
4 分数とユークリッド幾何 −− 線分をn等分する
5 正5角形,黄金分割とフィボナッチ数
6 自然数の割り算と整数論

第Ⅳ話 実数とはなにか −− 0.999・・・=1,≠1?
1 無限小数と実数 −− 0.999・・・=1?
2 循環しない無限小数とはなにか
3 直線をハサミで切る −− デデキン卜の切断
4 カントールの対角線論法
5 無限の哲学 −− 可能無限と実無限

第V話 角度と面積と左右
1 1°という角はどのようにして測るのか
2 弧度法 −− 円弧の長さとはなにか
3 角の3等分 −− ギリシャ以来の不可能問題
4 図形の面積 −− 突然すべての面積が2倍になったら
5 面積の定義とボヤイの定理
6 右と左 −− 鏡の中の上下,左右と前後
7 向き付けとはなにか −− メビウスの帯

第Ⅵ話 虚数iはどこに存在する?
1 3次方程式のカルダノの公式
2 虚数の存在 −− まず代数モデルについて
3 複素数の幾何モデル −− ガウスの天才的発想
4 複素数は究極の数である

第Ⅶ話 オイラーの公式eiπ=-1とはなにか
1 指数関数 −− 2のπ乗をどう定めるか
2 自然界の指数関数と対数関数
3 指数関数の微分 −− ネイピアの定数はなぜ重要なのか
4 複素数の値をもつ指数関数
5 オイラーの公式 −− 三角関数の加法公式は指数法則である

第Ⅷ話 非ユークリッド幾何 −− 曲がっていても「直線」
1 合同とはなにかを見直す
2 平行線公理 −− 三角形の内角の和はいくらか
3 非ユークリッド幾何 −− 双曲面の上で幾何を考える
4 閉じた「直線」の幾何

第Ⅸ話 数学と論理
1 なぜ論理を学ぶのか
2 命題論理 −− 「ゆえに,または,かつ,でない」の論理
3 真ではないことはない=真?
4 AならばB −− 嘘からまことは導けるか
5 背理法と矛盾 −− 矛盾があれば何でもいえる
6 記述論理 −− 言葉の正しい使い方
7 排中律についてもう少し考える

第X話 パラドックスいろいろとゲーデルの不完全性定理
1 ゼノンのパラドックス −− アキレスとカメ
2 論理に関わるパラドックス
3 集合にまつわるパラドックス
4 ゲーデルの不完全性定理

付録A 数列の極限と微分
1 数列の収束
2 連続的変数に関する極限値
3 ネイピアの定数
4 簡単な微分の公式
5 指数関数の微分
6 三角関数の微分

付録B ベキ級数, 指数関数と三角関数
1 無限級数 −− 絶対収束するなら有限級数と同じことができる
2 ベキ級数
3 指数関数と三角関数はベキ級数で定義できる

付録C 空間の一次変換
1 2行2列の行列と平面の一次変換
2 3行3列の行列と空間の一次変換
3 一次変換と双曲面

プロフィール

西田 吾郎(にしだ ごろう)
1943年大阪府生まれ.
京都大学名誉教授,理学博士.
京都大学大学院理学研究科修士課程修了.
京都大学理学部,大学院理学研究科教授,同副学長を歴任.
【専攻】位相幾何学
【主な著作】『ホモトピー論』(共立出版 1985),『線形代数学』(京都大学学術出版会 2009),『数,方程式とユークリッド幾何』(京都大学学術出版会 2012)など.