学術選書057
歴史と事実
ポストモダンの歴史学批判を超えて

大戸 千之

四六並製・316頁・税込 1,944円
ISBN: 9784876988570
発行年月: 2012/11
在庫あり

書評

『図書新聞』2013.5.4付、評者:三郷豊氏
『西洋史学』No.250、評者:芝井敬司氏
『史林』第96巻第6号、評者:阿部拓児氏
『史學雑誌』第123編第3号、評者:長谷川岳男氏

内容

“歴史”とは、過去の出来事を徹底調査し客観的な“事実”を取り出して、これを記述したものだと、一般には受けとめられている。しかし、ポストモダニズムの台頭以来、歴史とは歴史家が過去についての見かたをそれぞれに語った物語にすぎないのであり、過去をそのまま復元したものではないという批判がある。本書は歴史学の原点である古代ギリシアの歴史家の見解を検討し、歴史を書くことの可能性についてあきらかにする。

目次

凡 例
序 章……いま何が問題なのか——ポストモダニズムと歴史学
第1章……歴史叙述の起源
1 歴史を書くということ
2 古代ギリシア世界における歴史叙述の萌芽
第2章……ヘロドトス——事実とは情報である
1 「歴史叙述」の誕生
2 情報を吟味する
3 伝統と新しさと
第3章……トゥキュディデス——事実とは解釈である
1 著作の特質
2 歴史における「真実」
3 歴史の語りかた
4 新たな評価にむかって
第4章……ポリュビオス——事実の正確な理解を
1 その歴史観
2 運命と人知
3 思索の特質
4 事実を正確に語るということ
第5章……「循環史観」という神話
第6章……ランケの歴史学とその後——事実とは史料である
1 客観的歴史学の成立とその問題点
2 克服への道の模索
3 歴史とフィクション
終 章……何が可能か

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追記
あとがき
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索引(固有名詞・事項)

プロフィール

大戸 千之 (おおと ちゆき)
 
1942年生まれ。1970年京都大学大学院文学研究科博士課程中退。
京都大学文学部助手、立命館大学文学部助教授、教授をへて
現在立命館大学名誉教授。京都大学博士(文学)
【主な著書】
『ヘレニズムとオリエント——歴史のなかの文化変容』、ミネルヴァ書房、1993年