鉄道と道路の政治経済学
タイの交通政策と商品流通1935〜1975年

柿崎 一郎

菊上製・488頁・税込 5,184円
ISBN: 9784876987641
発行年月: 2009/02
在庫あり

受賞

第2回 鉄道史学会 住田奨励賞(図書の部)

書評

『東南アジア研究』48巻1号、98-101頁、評者:ばん澤歩氏

正誤表

正誤表(2009.1.27現在)PDF

内容

文字通り近代化の牽引車であった鉄道は、自動車の高性能化と高規格道路網の建設によって、道路交通にその地位を譲る——世界中で共通する【ように見える】この転換のからくりを、典型的な「鉄道と道路による近代化」を遂げたタイを舞台に、克明な商品輸送の数量分析と政策過程で追う。大平正芳記念賞に輝いた前作(『タイ経済と鉄道』)に続く、鉄道「斜陽」の時代を深読みした意欲作。

目次

序章 「フレンドシップ・ハイウェー神話」は本当か?
第1部 交通政策の変容
第1章 軍事のための交通網整備—立憲革命後の交通政策
 第1節 道路整備の本格化—「1つの道路網」の構築を目指して
 第2節 道路政策の軍事化
 第3節 鉄道政策の変遷—劣勢と攻勢
 小括
第2章 鉄道と道路の共用—戦後復興期の交通政策
 第1節 低規格道路網の拡大—質より量の道路整備
 第2節 高規格道路の登場—フレンドシップ・ハイウェーの開通
 第3節 鉄道の復興—既存の路線網の輸送力増強
 第4節 鉄道網の再拡張とその限界
 小括
第3章 鉄道から道路へ—「開発」の時代の交通政策
 第1節 サリットとタノームの道路政策—高規格道路の急増
 第2節 道路整備の実像
 第3節 鉄道の危機—道路優先時代の逆風
 第4節 危機の克服—鉄道の積極的な対応
 小括
第2部 商品流通の再編
第4章 既存の商品流通の変容
 第1節 米輸送—鉄道輸送の衰退
 第2節 豚輸送—鉄道輸送の終焉
 第3節 木材輸送—新たな鉄道輸送の発生
 小括
第5章 新たな商品流通の形成
 第1節 商品畑作物輸送—フレンドシップ・ハイウェーとの関係性
 第2節 セメント輸送—「開発」に伴う流通の拡大
 第3節 石油製品輸送—鉄道輸送の「最後の砦」
 小括
第6章 地域間商品流通の変容
 第1節 北部・中部上部—流通品目の多様化
 第2節 東北部—流入商品の急増
 第3節 南部—ペナン後背地からの脱却
 第4節 バンコク後背地の強化
 小括
第7章 交通網の整備と商品流通
 第1節 第2次世界大戦の影響—商品流通の断絶と再編
 第2節 「開発」と商品流通—道路優先政策の意図
 第3節 バンコク後背地の機能変化—出超から入超へ
 第4節 「フレンドシップ・ハイウェー神話」の再検討
 小括
終章 「交通の限界」を超えて—求心化から多極化の時代へ
附 表

引用資料
引用文献
引用ホームページ
あとがき
事項索引
人名索引
地名索引

プロフィール

柿崎一郎(かきざき いちろう)

横浜市立大学国際総合科学部准教授
1971年生まれ.1999年,東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程修了. 横浜市立大学国際文化学部専任講師,同助教授を経て,2005年より現職.博士(学術).『タイ経済と鉄道 1885~1935年』(下記)で,第17回大平正芳記念賞を受賞.

主要著作に 『タイ経済と鉄道 1885~1935年』(日本経済評論社,2000年),Laying the Tracks: The Thai Economy and its Railways,1885—1935(Kyoto University Press(京都大学学術出版会), 2005年),『物語 タイの歴史』(中公新書,2007年)など。