東アジアの死刑

冨谷 至 編

菊上製・540頁・税込 6,696円
ISBN: 9784876987436
発行年月: 2008/02
在庫あり

内容

究極の刑罰、死刑に焦点をあて、東アジア世界の法制度、法習慣、法思想、法社会学、法と宗教を総合的に考究する。日本・中国・オランダ・スウェーデン・イギリスの、かつ歴史学・法律学・社会学・人類学からなる国際共同研究によって、罪と罰の法意識を学術的実証的に考究することで、死刑問題の根源、今日の社会問題の解明に貢献する。

目次

はじめに

I 罪と刑罰

第1章 究極の肉刑から生命刑へ -漢〜唐死刑考-[冨谷 至]
 はじめに
 1 漢代の死刑-その執行様態
 2 魏晋の刑罰
 3 北朝の死刑-絞殺刑の登場
 4 北斉・北周から隋へ
 5 宋・齊・梁・陳の死刑
 おわりに 秦漢から隋唐へ-究極の肉刑から生命刑へ
第2章 宋代以降の死刑の諸相と法文化[岩井茂樹]
 はじめに
 1 「五刑」と近世の酷刑
 2 凌遅処死,その他
 3 死刑の手続きと近世の法文化
 おわりに
第3章 千金の子は市に死せず
    -17・18世紀朝鮮時代における死刑と梟首-[アンデシ・カールソン]
 序 論
 1 朝鮮時代の梟首
 2 17・18世紀の法典における梟首
 3 もめごとの多い北部
 結 論
 附録:梟首・死罪に関する王命法規一覧
●article1 有徳の殺人?
      -漢代における国家容認の暴力の歴史-[ベント・ペテルソン]

II 社会と死刑

第4章 魏晋時代の皇帝権力と死刑
    -西晋末における誅殺を例として-[古勝隆一]
 はじめに
 1 礼と刑
 2 皇帝による賞罰
 3 誅とは何か
 4 西晋末における誅の濫用
 5 冤魂の系譜
 6 誅せられた者の家族
 7 名誉回復
 結 び
第5章 朝鮮党争史における官人の処分
    -賜死とその社会的インパクト-[矢木 毅]
 はじめに
 1 明律の受容
 2 刑罰と懲戒
 3 党争の展開
 4 懲戒の体系
 5 拷問の諸相
 6 恩寵としての「賜死」
 7 「賜死」の思想
 8 雪冤と顕彰
 おわりに
第6章 中国の前近代絵入り史話における死刑と暴力の図像[オリバー・ムーア]
 1 絵入り史話
 2 文章と図像
 3 絵入り史話の形式と内容
 4 絵入り歴史物語の中の死刑
 5 図像の変換力
 6 見る者の視覚的能力
 7 絵入り史話における図像の使用
 8 リズムの標徴としての図像
 9 処刑の記述
第7章 死刑の社会史 -近世・近代日本と欧米-[伊藤孝夫]
 はじめに
 1 儀礼としての死刑
 2 刑死者の社会史-近世日本
 3 文明化と死刑
第8章 現代中国の死刑に関する立法およびその整備について[周 東 平]
 緒 言
 1 現代中国の死刑立法の沿革と現状
 2 中国現行刑法における死刑立法の批評分析
 3 中国における死刑立法の展望
 結 語
●article2 東アジアと死刑の風景
      -死刑のイメージの比較社会学-[藤田弘夫]
 1 世界の死刑
 2 社会秩序と安全
 3 現代社会と死刑の系譜
 4 東アジアと死刑の未来

III 非中国的視座に立って

第9章 古代インドにおける死刑
    -サンスクリット文献に見える刑罰の分析を通じて-[赤松明彦]
 はじめに
 1 古代インドでは刑罰をどのように見ていたか
 2 刑罰の種類と犯罪の分類
 3 体刑と罰金刑
 4 カースト制と刑罰-バラモンの特権性
 5 量刑の基準-同害刑罰の思想と抑止の思想
 6 死刑となる犯罪
 7 法と王権-社会的観点から見た刑罰
 8 けがれの観念と罪の観念-宗教的観点から見た刑罰
 9 「死刑」をめぐって-聖的権威と俗的権威のせめぎ合い
 10 不殺生(非暴力)の思想と死刑-仏教的原理と社会規範
 おわりに
第10章 ムルキ・アイン(Muluki Ain)
    -ネパールの法典と死刑-[ホーカン・ヴォルケスト]
 序 文
 1 死刑制度と人類学の仮説
 2 ネパールにおける法の伝統
 3 ネパール-その歴史的背景
 4 ネパール王国の伝統的特質
 5 民族国家に向けて
 6 ヒンドゥーの王権,王国と法
 7 法とネパール国家の形成-ラナ以前の時代
 8 スリ・スレンドラ・ビクラム・シャハのムルキ・アイン1854 年
第11章 死刑と朝鮮の法的伝統[スタファン・ローゼン]
 序 死刑
 1 早期朝鮮の概念
 2 早期朝鮮の法的遺産
 3 早期朝鮮の法的資料
 4 朝鮮と遊牧民の法の遺風
 5 朝鮮と律令の伝統
 6 新羅の法的伝統における刑罰

死刑存廃論議の門口に佇んで-総括に代えて-[冨谷 至]

索 引
Capital Punishment in East Asia

プロフィール

執筆者一覧(執筆順)

冨谷 至
 京都大学人文科学研究所 教授
 中国法制史
岩井 茂樹
 京都大学人文科学研究所 教授
 中国近世史
Anders Karlsson
 イギリス ロンドン大学アジアアフリカ研究所(SOAS) 講師
 朝鮮近世史
Bengt Pettersson
 スウェーデン国立東アジア考古研究所 研究員
 中国古代史
古勝 隆一
 京都大学人文科学研究所 准教授
 中国思想史
矢木 毅
 京都大学人文科学研究所 准教授
 朝鮮中世近世史
Oliver Moore
 オランダ ライデン大学漢学研究所 講師
 中国芸術史
伊藤 孝夫
 京都大学 法学研究科 教授
 日本法制史
周 東平
 中国 厦門大学 法学部 教授
 中国法制史,現代法
藤田 弘夫
 慶應義塾大学 文学部 教授
 社会学
赤松 明彦
 京都大学 文学研究科 教授
 インド哲学
Hkan Wahlquist
 スウェーデン国立民族学博物館 東アジア部門 主任研究員
 東アジア民族学
Staffan Rosn
 スウェーデン ストックホルム大学東アジア言語研究所 教授
 朝鮮史 朝鮮語学