中国農業史

フランチェスカ・ブレイ著/古川久雄訳・解説

菊上製・850頁・税込 9,720円
ISBN: 9784876986903
発行年月: 2007/02
在庫あり

受賞

平成19年度JAGRA社団法人日本印刷産業連合会会長賞

書評

『中国研究月報』2007年10月号、46-47頁、評者:村上陽子氏

内容

中国文明の科学・技術の集大成、ジョゼフ・ニーダムの『中国の科学と文明』シリーズのうち「中国農業技術史」の本邦初訳。多様な地理的環境の下に形成発展してきた中国農業の鳥瞰図を、汎アジア的視野に立ちながら描く。中国、日本、ヨーロッパの膨大な文献の渉猟にもとづき、中国農業史を世界に開かれた視野から取り上げた名著。

目次

図版のリスト
表のリスト
凡例
著者の序

第1章 序  論
1 中国農業の全般的特徴
2 農業地域区分
(i)トウモロコシ−ミレット−大豆地域
(ii)春小麦地域
(iii)冬小麦−ミレット地域
(iv)冬小麦−ソルガム地域
(v)揚子江の稲−小麦地域
(vi)稲−茶地域
(vii)四川の稲地域
(viii)稲二期作地域
(xi)西南の稲地域
3 中国農業の起源
(i)農業開始への刺激
(ii)農業起源の一般的仮説
(iii)中国の農業起源

第2章 文献資料
1 『月令』,すなわち農業暦
2 農書
(i)『齊民要術』
(ii)王禎の『農書』
(iii)『農政全書』
3 官撰編纂書
(i)『農桑揖要』
(ii)『授時通考』
4 専門書
5 補足資料
6 中国資料の性格と歴史解釈の際の問題
7 ヨーロッパの伝統との比較

第3章 農地体系
1 開墾と開拓
2 移動焼畑耕作
3 永年耕地
(i)華北
(ii)華南
(iii)特異な農地
干拓地
浮き田
塩鹹地の開拓
テラス耕地
ピット栽培

第4章 耕作体系——農具と農法
1 耕耘具
(i)犂
古代中国の犂
戦国時代の犂
漢代の犂
漢代以後の発展
犂付属品
(ii)手耕具−鍬,根切り鍬,鋤
(iii)平滑化と均平化−槌,レーキ,ハロー,ローラー
2 播種
(i)作付け暦と播種日の選定
(ii)種子の準備
(iii)播種法
散播
条播
点播,移植
(iv)播種量
(v)結論
3 施肥
4 除草と耕作
(i)旱地農業
(ii)馬鍬中耕農業
(iii)灌漑農業
5 収穫,脱穀,風選
(i)収穫
収穫ナイフ
鎌と大鎌
機械収穫
(ii)脱穀
脱穀床,桶,筵
足踏み脱穀,脱穀杖
打穀,殻竿
千歯扱きと脱穀機
(iii)風選
籠,盆,篩
フォーク,シャベル
風選用扇
6 穀物貯蔵
(i)貯蔵法の重要性−資料に見る位置づけ
(ii)貯蔵技術
(iii)貯蔵施設
籠,陶壺,木箱
地下貯蔵穴
穀倉建築
円形穀倉
方形穀倉
(iv)官営穀倉
収税穀物
常平倉
飢饉救済−「義倉」と「社倉」

第5章 作物体系
1 作物輪作
2 ミレット,ソルガム,トウモロコシ
(i)アワとキビ
(ii)高粱(ソルガム)
(iii)トウモロコシ
3 小麦と大麦
4 稲
(i)アジアの栽培稲起源
(ii)中国の稲品種群と名称
(iii)栽培法
5 豆類
6 油糧作物
7 根菜作物
8 繊維作物
9 蔬菜と果実

第6章 結論農業の変化と社会——停滞か革命か?
1 中国はヨーロッパの農業革命に寄与したか?
(i)ヨーロッパ前近代の農業技術
(ii)ヨーロッパが探索したアジアの農業技術
(iii)ヨーロッパ農業の変貌
播種ドリル
曲面鉄製犂へら
(iv)ヨーロッパ農業革命へのアジアの寄与
2 中国に農業革命はあったか?
(i)漢代華北の農業発展と農地制度の変化
土地への人口圧
小農経済の崩壊
大農場の成長
固有の矛盾
(ii)華南の‘緑の革命’
農業発展への小農の対応
社会変化と経済変化の関係
水稲耕作社会の安定性
些少商品生産の役割
3 発展か変化か?

訳者解説
参考文献
総索引

プロフィール

著者紹介
フランチェスカ・ブレイ(Francesca Bray)
ケンブリッジ大学卒業。中国農業史。マレーシアの緑の革命を取り上げて研究生活を開始。パリの国立科学研究所、カリフォルニア大学サンタバーバラ校人類学部を経て、現在エディンバラ大学社会人類学部教授。技術史学会(Society for the History of Technology)常任理事、『東アジア科学技術研究』誌(台湾)の編集委員。これまで中国、台湾、マレーシア、カリフォルニアで現地調査。
著書:The Rice Economies: Technology and Development in Asian Societies, Oxford University Press, 1986,Technology and Gender: Fabrics of Power in Late Imperial China, University of California Press, 1997,Technology and Society in Ming China, 1368-1644, AHA, 2000.2007年にはBrillから中国の技術挿絵に関してThe Warp and the Weft を出版の予定。

翻訳者紹介
古川久雄(ふるかわ ひさお)
1940年神戸生まれ。1963年京都大学農学部農芸化学科卒業。1968年京都大学大学院農学研究科中退、京都大学農学部助手、1978年京都大学東南アジア研究センター助教授、1988年同教授、1998年京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科教授。2003年退職。京都大学農学博士、同名誉教授。現在、NPO 法人平和環境もやいネット理事長。
著書:『インドネシアの低湿地』(1992年勁草書房)、『中国先史・古代農耕関係資料集成』(渡部武と共編著、1993年京都大学東南アジア研究センター)、Coastal Wetlands of Indonesia: Environment, Subsistence and Exploitation, Kyoto University Press, 1994、『事典東南アジア:風土・生態・環境』(共編著、1997年弘文堂)、『植民地支配と環境破壊』(2001年弘文堂)、Ecological Destruction, Health, and Development: Advancing Asian Paradigms, co-edited, Kyoto University Press- Trans Pacific Press, 2004,
『民族生態—從金沙江到紅河』(尹紹亭と共編著、2003年雲南教育出版社)。
訳書:『西側による国家テロ』(アレクサンダー・ジョージ編著、大木昌と共訳、2003年勉誠出版)