農山漁村の〈空間分類〉
景観の秩序を読む

今里 悟之

A5上製・315頁・税込 4,320円
ISBN: 9784876986767
発行年月: 2006/02
在庫あり

受賞

第7回人文地理学会学会賞(A部門・学術著作部門) 受賞

書評

『日本民俗学』250号、105-112頁、評者:鈴木正崇氏
『地理科学』61巻3号、106-108頁、評者:河崎 茂氏
『村落社会研究ジャーナル』Vol.15 No.2、56-57頁、評者:重岡 徹氏

内容

農山漁村の集落景観の背後に隠された,住民による生活空間の意味づけの秩序を,〈空間分類〉の体系として捉え,その理論的な位置づけおよび実証的な実態解明を試みる。村落空間は,生業的・社会的・象徴的機能が与えられた景観要素から構成される「テクスト」,すなわち一つの記号体系であり,その成り立ちや「構造」が解き明かされる。

目次

序  論
 基本的視点 — 景観,テクスト,記号,意味,構造
 各章の内容
第I編 理論編
第1章 日本の村落空間論 — テクスト論の視角
 1 目  的
 2 空間の基礎単位
(1)基礎社会と社会空間/(2)村落領域/(3)中国村落との比較
 3 空間の内部分類
(1)民俗分類・小地名・方位/(2)場所
 4 空間の社会的コンテクスト 
(1)物的基盤と生産領域/(2)空間認知の社会属性差/(3)村落空間の社会的表象
 5 小  括
第2章 英語圏の景観テクスト論
 1 目  的
 2 論点と思想背景
(1)相対的な関係のネットワーク/(2)意味の多様性と社会的コンテクスト/(3)イデオロギーとレトリック/(4)表象の持つ権力と限界
 3 景観テクスト論をめぐる論争
 4 目下の課題
(1)記号論による理論体系化/(2)空間の単位と体系性/(3)社会的コンテクストとの関係/(4)事例研究の蓄積
5 小  括
第3章 村落空間論における構造主義と記号論
 1 目  的
 2 日本の村落空間論と構造主義
(1)構造主義の基本的視点/(2)民俗学での展開/(3)文化人類学・地理学での展開
 3 レヴィ=ストロースの構造主義の困難性
 4 ソシュールらの記号論の再評価
(1)記号表現と記号内容/(2)ラングとパロル/(3)統辞論・意味論・語用論
 5 小  括
第II編 実証編
第4章 〈空間分類〉の全体 — 諏訪農山村を事例として
 1 目的と事例村落 
 2 生業空間の体系
(1)生産領域と民俗分類/(2)小地名
 3 場所と方位の体系
(1)場所/(2)象徴空間/(3)方位
 4 地縁集団と領域性 
(1)社会空間/(2)村落領域
 5 小  括
第5章 〈空間分類〉の複数性 — 丹後半島漁村を事例として
 1 目的と事例村落
 2 性別分業と空間分類の共通性
(1)生業暦と宗教行事/(2)共通の空間分類
 3 女性の空間分類
(1)田畑と野山の緻密性/(2)方位観の限定性
 4 男性の空間分類/
(1)漁場と海岸の緻密性/(2)風と潮の重要性
 5 小  括
第6章 〈空間分類〉の階層性 — 近江湖西山村を事例として
 1 目的と事例村落
 2 社会構造と歴史的背景
 3 麻生区の宗教景観要素
(1)基礎社会/(2)双分組織/(3)小地域集団
 4 木地山区の宗教景観要素
 5 小  括
第7章 〈空間分類〉の相対性 — 玄海諸島漁村を事例として
 1 目的と事例村落
 2 島スケール 
(1)外部者/(2)住民
 3 村スケール  
(1)外部者/(2)本村住民/(3)新村住民
 4 空間認識の社会的背景
(1)宗教と行政区の分立/(2)社会空間の葛藤と融和/(3)土地所有の格差/(4)漁業による経済力の逆転
 5 小  括
第8章 〈空間分類〉の変動性 — 中国四川農村を事例として
 1 目的と事例村落
 2 民国期
(1)基礎空間としての院子/(2)風水思想の世界観
 3 集団化期
(1)村落領域の画定/(2)宗教施設の破壊と農業施設の建設
 4 改革開放後
(1)耕地の果樹園化/(2)院子の消滅と集村化
 5 小  括
結  論
 空間分類をめぐる課題
(1)理論編/(2)実証編
 空間分類の諸性質
(1)各分類体系の次元と相互関係/(2)スケールと意味の相対性/(3)生活世界の秩序
文  献
あとがき
索  引

プロフィール

大阪教育大学教育学部助教授
1970年 大阪府生まれ
1994年 金沢大学卒業
1998年 京都大学大学院博士後期課程中退,大阪大学助手
2002年  京都大学大学院博士後期課程修了,博士(文学),大阪教育大学講師を経て現職

〔主要論文〕
「定置網漁村における複合生業形態の計量分析」日本民俗学240,2004年
「村落社会秩序に対する家格の影響度の計量的測定」村落社会研究11(2),2005年