地域研究叢書14
民主化の虚像と実像
タイ現代政治変動のメカニズム

玉田 芳史

菊上製・364頁・税込 4,320円
ISBN: 9784876986163
発行年月: 2003/07
在庫あり

受賞

第20回大平正芳記念賞 受賞

内容

経済成長の後を追うかのように民主化を実現してきたアジア諸国.その民主化の推進力は,既存研究の言うように「都市中間層や市民社会の登場」なのだろうか? 民主化著しいタイを舞台に,当事者の言説を渉猟しながら,実は,民主政治に消極的な勢力の慰撫こそが鍵を握っていたことを明らかにする。アジア政治の理解に新しい枠組みを与える意欲作.

目次

  はしがき

1章 タイ政治の民主化をどう眺めるか
 1-1 本書の狙いと構成
 1-2 タイ政治民主化への視座
 1-3 1970年代以後のタイ政治

第1部 1992年5月事件

2章 大規模集会:理由と影響
 2-1 スチンダー政権の誕生
 2-2 首相退陣要求集会
 2-3 善悪の対立
 2-4 なぜ「乗っ取り」が起きたのか
 2-5 民主化への影響
3章 軍の政治力低下:理由と過程
 3-1 なぜ人事異動なのか
 3-2 人事異動と政治力
 3-3 陸士5期生と1992年5月の発砲
 3-4 1992年5月以降の人事異動
 3-5 勢力分断人事と政治力低下

第2部 政治改革論と新憲法

4章 1997年憲法の起草と政治的意味
 4-1 はじめに
 4-2 憲法制定議会設置への道のり
 4-3 憲法の起草
 4-4 憲法の可決成立
 4-5 新憲法と民主化
5章 2000年上院議員選挙:なぜ公務員議会の再現なのか
 5-1 上院議員選挙の意義
 5-2 上院議員選挙の手続きと特色
 5-3 勝ち抜け方式の選挙
 5-4 どんな人々が当選したのか
 5-5 なぜ公務員が多いのか
 5-6 政治改革にとっての意味
6章 2001年総選挙:政治はどう変わったのか
 6-1 2001年総選挙
 6-2 政党は変わったか?
 6-3 選挙は変わったか?
 6-4 政権の安定と政治の不安定
終章 タイ政治の民主化
 終章-1 1990年代の民主化
 終章-2 安定した保守政治

  あとがき
  参考文献
  索  引

プロフィール

玉田芳史(たまだ よしふみ)

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科助教授
1958年 岐阜市生まれ。
京都大学大学院法学研究科博士後期課程中途退学
愛媛大学法文学部助手、講師、助教授、京都大学東南アジア研究センター助教授を経て、
1997年4月より現職。専門はタイ研究。

主な著書
「Itthiphon and Amnat: An Informal Aspect of Thai Politics」
『東南アジア研究』28巻4号、1991年。
『講座現代の地域研究 3 地域研究のフロンティア』(共著)弘文堂、1993年。
「タイのナショナリズムと国民形成」『東南アジア研究』34巻1号、1996年。
『国家と民族を問いなおす』(共著)ミネルヴァ書房、1999年。
『岩波講座東南アジア史 5 東南アジア世界の再編』(共著)岩波書店、2001年。