東アジア高度成長の歴史的起源

堀 和生 編

A5上製・386頁・税込 5,184円
ISBN: 9784814000548
発行年月: 2016/11
在庫あり

書評

『毎日新聞』2016年12月11日付朝刊、今週の本棚「2016この3冊」、選者:加藤陽子氏

内容

戦後東アジアの一角で始まった高度成長の波動は,東アジアからしだいに周辺の後進地域にひろがって,現在世界経済に大きな影響をあたえつつある.この注目すべきグローバルな現象を深く探るために,それが最初に起こった時代まで遡り,日本・台湾・韓国の研究者が取り組んだ国際共同研究の成果.

目次

序  論

第 I 部 総  論

序 章 東アジアの高度成長の歴史的条件 ——国際分業の視点から—— [堀 和生]
 はじめに
 第1節 両大戦間期の東アジアと日本
 第2節 世界経済との断絶と日本帝国圏
 第3節 日本帝国の解体と新生国民国家の形成
 第4節 東アジア地域の再結合と高度成長
 おわりに

第 II 部 戦後の地域再編成と米国

第1章 アメリカの戦後構想と東アジア [林 采成]
 はじめに
 第1節 戦後東アジア構想と中国内戦
 第2節 朝鮮戦争と東アジアへの介入拡大
 第3節 「平和攻勢」と開発構想の登場
 おわりに
第2章 台湾電力業と米国援助 ——ECA援助からMSA援助へ—— [湊 照宏]
 はじめに
 第1節 ECA援助
 第2節 MSA援助
 おわりに
第3章 米国援助と台湾経済官僚による第一期経済建設四年計画の作成 [趙 祐志(湊 照宏訳)]
 はじめに
 第1節 「第一期四年計画」の編成及び修正
 第2節 「第一期四年計画」の宣伝
 第3節 「第一期四年計画」の改訂
 第4節 JGホワイト社の「第一期四年計画」に対する貢献
 第5節 米国が参与した「第一期四年計画」の背後にある戦略
 第6節 「第一期四年計画』に対する社会世論
 第7節 商工業者による「第一期四年計画」への関与
 おわりに
第4章 終戦前後の台日貿易(1941—1961年) [許 世融(堀内義隆訳)]
 はじめに
 第1節 各段階の貿易統制
 第2節 各時期の台日貿易の発展概況
 第3節 戦前から戦後にいたる台日貿易の変動要因
 おわりに

第 III 部 東アジアの産業発展

第5章 韓国衣類産業の輸出産業化 [福岡正章]
 はじめに
 第1節 繊維製品輸出の動向
 第2節 衣類生産の国内的連関
 第3節 衣類輸出の国際的連関
 おわりに
第6章 台湾の高度経済成長と資本財供給 [堀内義隆]
 はじめに
 第1節 戦後世界経済と東アジアの高度経済成長
 第2節 台湾の工業化過程における資本財供給
 第3節 資本財供給からみた高度経済成長の起源
 おわりに
第7章 韓国・台湾の造船業 [裵 錫滿]
 はじめに
 第1節 戦後両国造船産業の初期条件 ——植民地遺産の比較
 第2節 1950年代の展開 ——植民地遺産の国営化と輸入代替
 第3節 1960年代国営復帰と日本造船企業の協力
 第4節 1970年代における輸出産業化の試み
 おわりに

結論と展望
年  表
あとがき
索  引

プロフィール

(*は編者,執筆順)
*堀 和生(ほり かずお)京都大学大学院経済学研究科教授.
 1951年生.京都大学大学院文学研究科博士課程.主著『東アジア資本主義史論㈵』ミネルヴァ書房,2009年.「東アジアにおける資本主義の形成:日本帝国の歴史的性格」『社会経済史学』第76巻第3号,2011年.専攻 東アジア経済史.

林 采成(イム チェソン)立教大学経済学部教授.
 1969年生.東京大学経済学研究科博士課程.主著『戦時経済と鉄道運営:「植民地」朝鮮から「分断」韓国への歴史的経路を探る』東京大学出版会,2005年.「1950年代韓国経済の復興と安定化:合同経営委員会を中心に」『歴史と経済』58巻3号,2016年.専攻 日本経済史・東アジア経済史.

湊 照宏(みなと てるひろ)大阪産業大学経済学部准教授.
 1974年生.東京大学大学院経済学研究科博士課程.主著『近代台湾の電力産業:植民地工業化と資本市場』御茶の水書房,2011年.専攻 台湾経済史.

趙 祐志(ジャオ ヨウズー)真理大学人文情報科学系助理教授,台湾清華大学歴史研究所兼任助理教授.
 1968年生.台湾師範大学歴史系博士.主著『日拠時期台湾商工会的発展』稲
郷出版社,1998年(中国語).『日治時期日人在台企業菁英的社会網絡』花木蘭出版社,2013年(中国語).專攻 台湾社会経済史.

許 世融(シュー スーロン)国立台中教育大学区域社会発展学系副教授.
 1966年生.国立台湾師範大学歴史学博士課程.主著「戦時体制下的両岸貿易(1941~1945)」,『国史館館刊』第25期,2010年(中国語).專攻 台湾経済史.

福岡正章(ふくおか まさあき)同志社大学経済学部教授.
 1973年生.京都大学大学院経済学研究科博士課程.主著「植民地期朝鮮における繊維製品消費の拡大とその特徴」編集委員会『朝鮮半島のことばと社会』明石書店,2009年.「帝国内分業の形成と都市 —仁川の事例を中心に—」『経済学論叢』(同志社大学)第63巻第4号,2012年.専攻 韓国経済史・東アジア経済史.

堀内義隆(ほりうち よしたか)三重大学人文学部准教授
 1973年生.京都大学大学院経済学研究科博士課程。主著「植民地期台湾における中小零細工業の発展」『〔経済論叢別冊〕調査と研究』第30号,2005年.「植民地台湾における民族工業の形成 —製帽業を事例として—」『日本史研究』556号,2008年.専攻 台湾経済史・東アジア経済史

裵 錫満(ベ ソクマン)高麗大学校民族文化研究院HK研究教授.
 1968年生.釜山大学校大学院史学科.主著「日中戦争期朝鮮重工業株式会社の設立と経営」『朝鮮史研究会論文集』第44集,2006年.『韓国造船産業史:日帝時期編』図書出版先人,2014年(韓国語).専攻 韓国近現代史(経済史).