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日本の地下水政策

地下水ガバナンスの実現に向けて

千葉 知世

A5上製・364頁

ISBN: 9784814002160

発行年月: 2019/03

  • 本体: 3,800円(税別)
  • 在庫あり
 
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内容

国民の生命・生活基盤たる重要な水資源、地下水。だが、その保全管理に関する国家的な法制度は従来あまりにも不十分で、地域ごとの個別的な取組に任されてきた。そのため、現場では望ましい地下水保全管理のあり方や方策をめぐって混乱が見られる。地下水問題がますます複雑化する現在、日本の地下水保全管理はどうあるべきなのか。多様なローカルの知見の全体像を描き、地下水ガバナンスの推進に向けた論点を導く。

プロフィール

千葉 知世(ちば ともよ)
1985年大阪府生。京都大学総合人間学部卒業,京都大学大学院地球環境学舎博士課程修了,京都大学博士(地球環境学)。日本学術振興会特別研究員(DC2),兵庫県立大学淡路緑景観キャンパス客員教員(非常勤),阪南大学経済学部非常勤講師,同専任講師を経て,現在,同准教授。主な著作に「地下水保全に関する法制度的対応の現状:地下水条例の分析から」『水利科学』(58巻2号,2014年),「地下水行政の歴史的展開」『地下水学会誌』(60巻4号,2018年)など。専攻:環境政策論・環境ガバナンス論,地下水政策,生物多様性保全政策。

目次

はじめに

第1章 地下水保全管理の現代的課題
第1節 地下水利用の現状
第2節 日本の地下水問題
 1. 地盤沈下
 2. 地下水質汚染
 3. 新たな地下水問題
第3節 国家的対応の不十分さと「地方任せ」の現状
第4節 地下水保全管理にかかわるこれまでの議論
 1. 地下水学における社会科学的研究
 コラム1 地下水保全の基本単位:地下水盆と地下水域
 2. 法学分野における地下水の法的性質論
 コラム2 秦野市における井戸新規設置訴訟
 3. 地下水政策・地下水ガバナンス研究

第2章 地下水行政の歴史的変遷
第1節 地下水ガバナンスの背景にある地下水行政
第2節 地下水行政の歴史的展開
 1. 地租改正による土地の私的所有権の確立
 2. 地下水利用の拡大と明治29年大審院判決
 3. 地盤沈下の発生と無視された過剰利用原因説
 4. 地下水障害の深刻化と水行政の縦割り化
 5. 地盤沈下対策法の制定と地方自治体による独自規制の始まり
 6. 地下水法制定の頓挫
 7. 地方自治体による独自規制の発展
 8. 環境庁による水行政の再編成
第3節 国の地下水管理体制整備に向けて
 1. 要約と考察:時代の変化と地下水の性格の変化
 2. 国の役割の再検討に向けて

第3章 地下水条例の分析
第1節 地下水条例の実態把握
第2節 条例分析の方法:規定内容の類型化
第3節 条例分析の結果と考察
 1. 国家法と地下水条例の関係
 2. 地下水保全管理の手段に関する規定
 3. 地下水管理の体制に関する規定
 4. 地下水の法的性格に関する規定
第4節 結論:条例による地下水の「公水」化と国家法の課題

第4章 基礎自治体における地下水保全管理の実態
第1節 ローカルな現状理解の必要性
第2節 質問紙調査
 1. 基礎自治体を対象とした質問紙調査
 2. 9つの主要な設問
 3. 条例制定の有無による比較
第3節 質問紙調査の結果と考察
 1. 回収率と回答部署
 2. 集計結果と考察
第4節 基礎自治体の現状と求められる支援

第5章 求められる地下水ガバナンス
第1節 地下水ガバナンスに対する社会的要請
第2節 ガバナンス概念の導入
 1. ガバナンスとは何か
 2. 政府か、市場か、コミュニティか
第3節 地下水ガバナンスの概念と現状の概観
 1. IWRMとガバナンス
 2. 地下水ガバナンスとは何か
 3. 国際機関による「地下水ガバナンスプロジェクト(GGP)」と日本の現状
 コラム3 主婦が守った地下水
 コラム4 地下水協力金と地下水税
第4節 流域水循環協議会・流域水循環計画への注目
 1. 地下水ガバナンスの場としての流域水循環協議会
 2. 広い自由裁量
 3. EU水枠組指令に基づく流域管理計画(RBMP)との対比

第6章 熊本地域における地下水保全政策過程
──地下水ガバナンスのアクターの観点から
第1節 熊本地域への注目
 1. 事例分析の必要性
 2. 白川中流域水田湛水事業の概要
第2節 アクターの分析枠組み
第3節 熊本地域における地下水保全管理の成立過程
 1. 第一期(1960〜1970年代頃)
 2. 第二期(1980〜1990年代頃)
 3. 第三期(2000〜2010年頃)
第4節 地下水がバンスの観点からの考察
 1. 湛水事業のプロセスにおける参加アクター
 2. ふたつの論点:熊本地域の地下水ガバナンスの発展に向けて

第7章 地下水政策・ガバナンス論の発展に向けて
第1節 各章の要約および本書の成果と課題
第2節 血の通った制度をつくるガバナンス

巻末表1 地下水関連行政略年表
巻末表2 地下水関連の主な判例(巻末表1)の概要
巻末表3-1〜3 地下水条例分析の結果
巻末表4 規制対象とされる井戸の種類・規模
参考・引用文献一覧
索引
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