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地域研究叢書 35

東南アジアにおけるケアの潜在力

生のつながりの実践

速水 洋子 編著

菊上製・596頁

ISBN: 9784814002009

発行年月: 2019/02

  • 本体: 5,600円(税別)
  • 在庫あり
 
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内容

これまでの社会福祉論では,先進国が主流として扱われ,中進国や発展途上国は専らその「遅れ」が指摘されるばかりであった。しかし,東南アジアでは,超ハイペースで少子化・高齢化が進み,また移動労働などによる家族の変化の中で急速に増大するケアニーズに対して,制度整備の遅れを埋める形で,文字通り生きる実践としてのケアが立ち現れている。欧米では市場原理と個人主義のへのアンチテーゼとして提起された「社会全体で担うケア」という論理が,元来,東南アジア社会には内包されているのではないか。ネオリベラリズムのもとで主張される「自助努力」や「アクティブ・エイジング」を東南アジアから捉え直し,社会に埋め込まれたケアのつながりの活性化から,新たなケア原理を模索する。

プロフィール

速水洋子(はやみ ようこ)
京都大学東南アジア地域研究研究所教授
1959年生まれ.ブラウン大学大学院博士課程修了,Ph.D.(人類学).
主な著書に,『差異とつながりの民族誌 ―北タイ山地カレン社会の民族とジェンダー』(世界思想社,2009年),Between Hills and Plains: Power and Practice in Socio-Religious Dynamics among Karen(Kyoto University Press and Trans Pacific Press,2003年),Gender and Modernity in Asia and the Pacific(共編著,Kyoto University Press and Trans Pacific Press,2003年),『人間圏の再構築 ―熱帯社会の潜在力』(共編著, 京都大学学術出版会,2012年),The Family in Flux in Southeast Asia: Institution, Ideology and Practice(共編著,Silkworm Press and Kyoto University Press,2012年) など.

伊藤 眞(いとう まこと)
首都大学東京名誉教授
1950年生まれ.東京都立大学社会科学研究科単位取得退学,博士(社会人類学).
主な著書に『性の文脈』(共著,雄山閣,2003年),Postcolonialism and Local Politics in Southeast Asia(共著,New Day Publishers,2003年),『やもめぐらし 寡婦の文化人類学』(共著,明石書店,2007年),Urbanization and Formation of Ethnicity in Southeast Asia(共著,New Day Publishers,2009年),『生をつなぐ家親族研究の新たなる地平』(共著,風響社,2013年),『歴史の中の異性装』(共著,勉誠出版,2017年),『東南アジア地域研究入門2社会』(共著,慶応義塾大学出版会,2017年) など.

岩佐光広(いわさ みつひろ)
高知大学人文社会科学部准教授
1978年生まれ.千葉大学大学院社会文化科学研究科博士課程修了,学術博士.
主な著書に,『高齢者のウェルビーイングとライフデザインの協働』(共編著,御茶ノ 水書房,2010年),『メディアのフィールドワーク ―アフリカとケータイの未来』(共編著,北樹出版,2012年),『越境スタディーズ ―人文学・社会科学の視点から』(共編著,リーブル出版,2015年)など.

エカワティ・スリ・ワフユニ(Ekawati Sri Wahyuni)
ボゴール農業大学人類生態学部教授(人口学)
アデレイド大学大学院人口環境学研究科修了,Ph.D.
主な論文に,The Impact of Migration on Family Structure and Functioning: Case Study in Jawa (International Population Conference, Tours, France, July 18-23, 2005), Strategy to Empower Indonesian Migrant Workers in Hongkong (Agrisep 10(1): 59-72, 2009), International Migration, Livelihood Strategy, and Poverty Cycle (Journal of Sustainable Development 9(4): 113-123, 2016), Rural Poverty, Population Mobility, And Agrarian Change: A Historical Overview (Sodality 4(1): 48-60, 2016), Dampak Remitan Ekonomi Terhadap Posisi Sosial Buruh Migran Perempuan Dalam Rumah Tangga (Sodality 6(3): 252-258, 2018) など.

江藤双恵(えとう さえ)
獨協大学国際教養学部非常勤講師
1962年生まれ.一橋大学社会学研究科博士後期課程単位取得.
主な著作に,「女性の動員から連帯へ ―タイの地方自治体職員「コミュニティ開発 専門職員」の役割に着目して」(『国際ジェンダー学会誌』14:73-95,2017年),「タイにおける「子育て支援」政策の現状と課題 ―「子ども開発」と「家族制度開発」を中心に」(『タイ研究』9:13-14,2009年),「タイ「家族制度開発」におけるジェンダー課題 ―政策文書とコンケン県の事例から」(『マテシス・ウニウェルサリス』12(2): 21-37,2010 年),『国際比較にみる世界の家族と子育て』(共著,ミネルヴァ書房,2010年)など.

岡部真由美(おかべ まゆみ)
中京大学現代社会学部准教授
1978年生まれ.総合研究大学院大学文化科学研究科単位取得満期退学,博士(文学).
主な著書に,『「開発」を生きる仏教僧 ―タイにおける開発言説と宗教実践の民族誌 的研究』(風響社,2014 年),「都市に生きる場所 ―タイにおける「寺住まい」の実践からみる社会編成」(森明子編著『ケアが生まれる場 ―他者とともに生きる社会のために』ナカニシヤ出版,近刊)など.

加藤敦典(かとう あつふみ)
京都産業大学現代社会学部准教授
1975年生まれ.大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了,博士(人間科学).
主な著書に,Weaving Women’s Spheres in Vietnam: The Agency of Women in Family, Religion and Community(編著,Brill,2016年),Rethinking Representations of Asian Women: Changes, Continuity, and Everyday Life(共編著,Palgrave Macmillan,2016 年)など.

木曽恵子(きそ けいこ)
宮城学院女子大学キリスト教文化研究所客員研究員,同大学非常勤講師
1976年生まれ.京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了,博士(地域研究).
主な著書に,「女が「稼ぐ」ということ ― 東北タイ農村女性の出稼ぎとライフコースの変容」(中谷文美・宇田川妙子編『仕事の人類学 ―労働中心主義の向こうへ』世界思想社,2016年),「タイの家族 ―変わりゆくかたち、つながる人々」(綾部真雄 編『タイを知るための72章』明石書店,2014年)など.

合地幸子(ごうち さちこ)
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所ジュニア・フェロー
1966年生まれ.東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士後期課程単位取得満期退学.
主な論文に,「インドネシア・ジョグジャカルタに見る職業的介護者の誕生と可能性 ―プラムルクティ(Pramurukti)研修を通して」(『東南アジア ―歴史と文化』44: 101-119,2015年),「インドネシア・ジャワ農村部におけるマントリ・クセハタン(Mantri Kesehatan)およびビダン(Bidan)の役割 ―高齢者の病い対処行動を通して」(『保健医療社会学論集』26(1):58-67,2015年),「ジョグジャカルタ特別州村落 部における健康と消費 ―「中間層的ライフスタイル」を求めて」(『白山人類学』20: 7-28,2017年)など.

小林 知(こばやし さとる)
京都大学東南アジア地域研究研究所准教授
1972年生まれ.京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了,博士(地域研究).
主な著書・論文に,『カンボジア村落世界の再生』(京都大学学術出版会,2011年),「カンボジア農村における仏教施設の種類と形成過程」(『東南アジア研究』51(1): 34-69,2013 年),「森にセイマーを見いだす ―浄域を通してみるカンボジア仏教再生の動態」(『現代アジアの宗教 ―社会主義を経た地域を読む』春秋社,2015 年),「重なり合う村落と都市」(『東南アジア地域研究入門 2 社会』慶応大学出版会,2017 年)など.

古山裕基(こやま ひろき)
“逝き方から,生き方を創る東北タイの旅”主宰.
1972年生まれ.同志社大学法学部,タイ・コンケン大学看護学部卒業.
青年海外協力隊ベネズエラ・エイズ対策派遣.介護施設勤務.京都文教大学大学院文化人類学研究科修了.
2015年度トヨタ財団国際助成プログラム “心豊かな「死」をむかえる看取りの「場」づくり ―日本国西宮市・尼崎市とタイ国コンケン県ウボンラット郡の介護実践の学 び合い”のプロジェクトリーダー.

清水 展(しみず ひろむ)
関西大学政策創造学部・特任教授
1951年生まれ.東京大学大学院社会学研究科博士課程中退,社会学博士.
主な著書に,『出来事の民族誌 ― フィリピン・ネグリート社会の変化と持続』(九州 大学出版会,1990年),『文化のなかの政治 ―フィリピン “二月革命” の物語』(弘文堂,1991年),『噴火のこだま ―ピナトゥボ・アエタの被災と新生をめぐる文化・ 開発・NGO』(九州大学出版会,2003年),『草の根グローバリゼーション ―世界遺産棚田村の文化実践と生活戦略』(京都大学出版会,2013年),『新しい人間,新しい社会 ―復興の物語を再創造する』(共編著,京都大学学術出版会,2015年)など.

田村慶子(たむら けいこ)
北九州市立大学法学部教授
九州大学大学院法学研究科博士課程修了,博士(法学).
主な著書に,『シンガポールの国家建設 ―ナショナリズム,エスニシティ,ジェンダー』(明石書店,2000年),『多民族国家シンガポールの政治と言語 ―「消滅」した 南洋大学の25年』(明石書店,2013年),『シンガポールの基礎知識』(めこん,2016年),『東南アジアの NGO とジェンダー』(共編著,明石書店,2004年),『シンガポールを知るための65章(第4版)』(編著,明石書店,2016年),『東南アジア現代政治入門(改訂版)』(共編著,ミネルヴァ書房,2018年),『マラッカ海峡 ― シンガポール,マレーシア,インドネシアの国境を行く』(編著,北海道大学出版会,2018年) など.

TRAN THI MINH THI(チャン・ティ・ミン・ティー)
ベトナム社会科学院家族・ジェンダー研究所所長
1978年生まれ.京都大学社会学博士.
主な著書・論文に,Divorce Prevalence under the Forces of Individualism and Collectivism in “Shortcut” Modernity in Vietnam (in Atsufumi, Kato (ed), Weaving Women’s Spheres in Vietnam: The Agency of Women in Family, Religion and Community. Brill Publishers Asian Studies, the Netherlands, 2015), Life Arrangement and Care Provision of Left-behind Elderly in Vietnam (Case Studies in Two Communes in Quang Ngai and Ha Tinh Provinces) (Vietnam Journal of Social Sciences, No. 5 (175)-2016. ISSN 1013-4328 VSS A238-12552), Care for the Elderly: a Theoretical Review (Journal of Marriage and Family Studies, No. 2/2016), Women’s Political Participation in Vietnam from Institutional and Cultural Perspectives (The Russian Journal of Vietnamese Studies, Series 2. 2018, No. 4), Child Care Diamond in Transforming Vietnam (Journal of Marriage and Family Studies, Vol. 2, 2018) など.

冨田江里子(とみた えりこ)
1967年大阪生まれ.看護師・助産師.
1993年,青年海外協力隊でモルジブ共和国の病院に2年間勤務.1997年から夫の植林事業(NPO)に付き添いフィリピンに暮らす.現地の貧しい母子が置かれている状況に,2000年助産院(セント・バルナバ・マタニティ・センター)を設立し現在に至る.2018年に第50回日本財団賞(社会貢献者 表彰),2019年に第15回ヘルシー・ソサエティ賞を受賞.
主な著書に,『フィリピンの小さな産院から』(石風社,2013年)など.

直井里予(なおい りよ)
京都大学東南アジア地域研究研究所連携研究員,龍谷大学非常勤講師他
1970年生まれ.京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了,地域研究博士.
主な著書に,『アンナの道 ―HIV とともにタイに生きる』(岩波書店,2010年),ドキュメンタリー映画作品に,『昨日 今日 そして明日へ・・・』(2005年),『OUR LIFE』(2010年)など.

馬場雄司(ばば ゆうじ)
京都文教大学総合社会学部教授
1957年生まれ.名古屋大学大学院博士課程単位取得(史学地理学).
主な著書に,『海辺のカラオケ・「おやじ」のフォーク ―高齢社会の音楽をフィールドワーク』(風響社,2011年),「農村のポピュラー文化 ―グローバル化と伝統文化 保存・復興運動のはざま」(福岡まどか・福岡正太編『東南アジアのポピュラーカルチャー ―アイデンティティ・国家・グローバル化』スタイルノート,2018年),「医療・福祉の原点を求めて ―「生活」を体験し,「生活」を見直す」(特集:文化人類学と医学)(『医学教育』44(5):299-306,2013 年),The “Making of a Strong Family” Program and Its Influences on a Tai-Lue Village in Nan, Thailand(The Family in Flux in Southeast Asia: Institution, Ideology and Practice, Silkworm Press and Kyoto University Press,2012 年)など.

細田尚美(ほそだ なおみ)
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科助教
1967年生まれ.京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了,博士(地域研究).
主な著書に,『湾岸アラブ諸国の移民労働者 ―「 多外国人国家」の出現と生活実態』(編著,明石書店,2014年),『複ゲーム状況の人類学 ―東南アジアにおける構想と実践』(共著,風響社,2014年)Asia Inside Out: Changing Times(共著,Harvard University Press,2015年),International Migration in Southeast Asia: Continuities and Discontinuities(共著,Springer,2016年),『幸運を探すフィリピンの移民たち ―冒険・祝福・犠牲の民族誌』(明石書店,2019年)など.

水野広祐(みずの こうすけ)
京都大学東南アジア地域研究研究所教授,総合地球環境学研究所教授
1953年生まれ.京都大学経済学部卒,京都大学博士(農学).
主な著書に,Rural Industrialization in Indonesia, A Case Study of Community Based- Weaving Industry in West Java (Institute of Developing Economies, 1996),『東南アジアの経済開発と土地制度』(共編著,アジア経済研究所,1997年),『インドネシアの地場産業 ―アジア経済再生の道とは何か?』(京都大学学術出版会,1999年), Direktori Serikat Pekerja/ Serikat Buruh Indonesia (Directory of Trade Unions in Indonesia) (co-ed., Akatiga Pusat Analisis Sosial, Bandung, Indonesia, 2007), Populism in Asia (co-ed., National University of Singapore Press and Kyoto University Press, 2009), Catastrophe and Regeneration in Indonesia’s Peatlands: Ecology, Economy and Society (National University of Singapore Press and Kyoto University Press, 2016), Sustainability and Crisis at the Village: Agroforestry in West Java, Indonesia (The Talun- Huma System and Rural Social Economy) (co-ed., Gadjah Mada University Press, 2016) など.

目次

序章 東南アジアにおけるケアの潜在力
―生のつながりの実践―
[速水洋子]
オルタナティブの可能性 ―東南アジアでケアを問う
「関係の文化」の実践としてのケア ―もう一つのケア原理を見いだす
自助努力とアクティブ・エイジングの可能性と罠
家族・親族によるケア ―「アジア的家族」の称揚から「危機」へ
〈ケアのコミュニティ〉の実態と変容
社会に埋め込まれた実践としてケアを読み解く
ケアの多元性の理解と地域理解
本書の構成

PROLOGUE 北タイでHIV陽性者とともにケアを考える
―映像制作から見えたケアと関係性―
[直井里予]
1 映画で映し出すタイHIV陽性者のコミュニティ
─調査地の概要,映画の内容及び登場人物
2 DCCにおける看護師とHIV陽性者間,及びHIV陽性者同士の関係性の構築
3 日常生活の場におけるHIV陽性者間の関係性の展開
4 エイズ孤児との関係性の構築
5 「病縁」を介する新しいコミュニケーション,新しい「家族」

第I部 グローバルとローカル 制度と実践の展開

第1章 「家族主義型福祉レジーム」の課題と行方
―シンガポールの高齢者介護―
[田村慶子]
1 シンガポールの社会福祉制度
2 高齢者の介護施設
3 「社会主義型福祉レジーム」の見直し
4 岐路に立つ「家族主義型福祉レジーム」

第2章 アクティブ・エイジングの実践
―東ジャワ州および南スラウェシ州の事例から―
[伊藤 眞]
1 インドネシアの高齢者の状況 ―人口統計から
2 インドネシアの高齢者政策
3 インドネシアの保健サービス制度
4 南スラウェシ州マカッサル市における「健康な路地裏」運動
5 東ジャワ州の高齢者政策と高齢者クラブ活動
6 新たなコムニタスとアクティブ・エイジングの可能性

第3章 インドネシアにおける社会保障制度
―インフォーマルセクターの排除と包摂―
[水野広祐]
1 植民地下インドネシアにおける社会保障制度の確立へのあゆみ
2 独立後スカルノ政権期およびスハルト政権期の社会保障制度
3 アジア通貨危機後の社会保障制度

第II部 誰がケアするのか? 変わりゆく家族とケアの揺らぎ

第4章 老親扶養をめぐる規範を問い直す
―インドネシア・ジャワにおける高齢者福祉施設を事例として―
[合地幸子]
1 ジャワの家族と老親扶養の規範
2 調査地概要
3 ひとりでいてはいけない/ひとりにしてはいけない
4 福祉施設と家族のはざまで
5 扶養の価値観を共有できない親子

第5章 「独居」を選ぶ高齢者 ―ベトナムにおける家の祭壇と女性―
[加藤敦典]
1 高齢化,移住,居住形態
2 独居高齢女性の事例
3 ケアする母/妻という表象と高齢女性の居住形態の選択
─独居に対する社会的圧力

第6章 現代ベトナムにおける家族の居住形態と世代間ケア
[チャン・ティ・ミン・ティー (加納遥香・瀬戸徐映里奈訳) ]
1 背景
2 高齢者の居住形態の特徴
3 高齢者の経済的特徴
4 結論

第7章 ラオス低地農村部における 独居高齢者をめぐるケアの社会基盤
[岩佐光広]
1 「独居する高齢者」の出現
2 ラオスにおける高齢者を取りまく状況
3 高齢者の暮らしとケア ―2004 年の調査をもとに
4 高齢者の独居世帯の出現とそのケアの社会基盤
―2014 年の調査をもとに
5 独居する高齢者の今後

第8章 ケアから見なおす共生の形
―山地カレン村落における高齢者の棲み方―
[速水洋子]
1 タイにおける高齢者政策と調査地への波及
2 居住パターンの変化
3 親子分住のもとでのケア
4 ケアすることと共にいること
5 高齢者によるケア ―ケアとしての儀礼
6 共にいる時空と間にあるケア

COLUMN インドネシアにおけるバナキュラーなケア
―西ジャワ州カラワン県の高齢者をめぐる社会経済世帯調査―
[水野広祐,エカワティ・スリ・ワフユニ]
調査地と調査の概要
センサス調査結果
社会経済世帯調査の結果
まとめ

第III部 移動し往還する人々とケアの広がり

第9章 フィリピン・東ビサヤ地方における「家族」介護
―移民送出地域でみられる高齢者ケアの実践から―
[細田尚美]
1 人の移動と高齢者福祉制度
2 調査地における高齢者の状況
3 国外からの帰還者 ―減少する家族をどう補うか?
4 国内からの帰還者 ―ケアする「家族」の揺らぎ?
5 ケア・チェーン末端でみられる「家族」介護の多様性と限界

第10章 ケアの担い手の複数性とスマートフォンによる親子関係の補完
―少子化時代の東北タイ農村における子育て―
[木曽恵子]
1 共に暮らさない親子への視座
2 東北タイ農村における子どもの生育・教育環境
3 調査地における子育ての行為
4 少子化時代の東北タイ農村におけるケアの社会基盤と親子関係
5 ケアの担い手の複数性を容認する社会

第11章 妻の国で逝く日本人夫 ―他者とともにあるケアと死―
[古山裕基]
1 タイと日本の高齢化による諸現象
2 「他人」でもある夫婦間のケア
3 他者の死を見て,自分の死を迎える
4 人々の間にあるケアと死
5 「場」に宿る豊かな死とケア
―タイでの日本人夫たちの経験が日本社会に示唆するもの

第IV部 間の新たなケア・イニシアティブ ―コミュニティと宗教―

第12章 「女性に優しいコミュニティ福祉」は可能か
―タイ国コンケン県バーンプー自治体の事例から―
[江藤双恵]
1 2000年代以降の地方自治体とその職員
2 「地方の福祉」
3 調査地の概要
4 村コンテスト公聴会の事例
5 「仲介役」としてのコミュニティ開発専門職員
6 高齢者女性支援の事例
7 ケアの社会基盤としての「共働」そして「共食」を活かす

第13章 都市と農村のはざまでゆれるケアの社会基盤としてのコミュニティの行方
―ナーン県タイ・ルー村落の事例―
[馬場雄司]
1 N 村のネットワークとコミュニティ ―つながりと「居場所」
2 農村再生への挑戦 ―農の可能性を求めて
3 N 村とバーン・メータータム ―都市と農村のすれ違い
4 ケアの社会基盤としてのコミュニティの試行錯誤

第14章 出家からみるケアの実践とその基盤
―タイ北部国境地域におけるシャン人移民労働者に焦点をあてて―
[岡部真由美]
1 ケア供給者としての宗教の論じ方 ―「 ケア・ダイアモンド」論を越えて
2 タイにおけるシャン人移民労働者の増加
3 シャン人移民労働者と沙弥出家 ―チェンマイ県ウィエンヘーン郡の場合
4 出家を支える関係性,出家が生み出す関係性
5 出家からみたケア ―非対称な関係性をつなぐ

第15章 サンガハの可能性と限界
―カンボジア農村における萌芽的なケアに関する一考察―
[小林 知]
1 ポスト紛争社会に現れた主体的なケアの模索
2 サンガハを行う人々
3 サンガハの現状
4 サンガハの可能性と限界
5 萌芽性を保つこと自体の意味 ―むすびにかえて

EPILOGUE 草の根国際交流の実践としてのケア
―フィリピン田舎の小さな助産院が結ぶ日比のつながり―
[清水 展,冨田江里子]
1 はじめに
2 多忙をきわめる1日
3 小さな助産院ができるまで
4 下半身のつながり ―日比の恩讐と愛憎の歴史を超えて
5 貧者の生活で垣間見えた出産
6 自らの身体をケアするエンパワーメント
7 巻き込まれ,結ばれ,主体をつくり出す実践としてのケア

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